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Shapes

■ Shapes

J.S. Bach: Partita for Violin Solo No. 1 in G minor, BWV 1001 - Arranged Dominic Miller, Nick...
Dominic Miller - "Adagio in G Minor"!

■ Musicians ■

Dominic Miller(ドミニク・ミラー):G
■ Pino Palladino(ピノ・パラディーノ):Ba
■ Placido Domingo(プラシド・ドミンゴ):Vo(Tenor)
■ Sting(スティング):Vo
■ Alejandro Lerner(アレハンドロ・レルネル):Vo
■ Chris Botti(クリス・ボッティ):Trumpet
■ James Banbury(ジェイムス・バンブリー):Cello,Key,Programming/Tracks(11)
■ Marianna Pleszkan(マリアンナ・プレシュカン):Cello, Soloist
■ Rufus Miller(ルーファス・ミラー):G[Harmony]/Tracks(3)
■ Miles Bould(マイルス・ボウルド):Per
■ Jason Rebello(ジェイソン・リベロ):Pf
■ Richard Cottle(リチャード・コットル):Pf,Programming
■ Nick Ingman(ニック・イングマン):Strings Arranged,Conductor [Orchestra] 
■ The Budapest Film Orchestra,The London Session Orchestra/Tracks(9)

・A&R (Artists and Repertoire): Jim Reid 
・Producer- Nick Patrick
・Arranged By – Dominic Miller,Nick Ingman,Nick Patrick/Tracks(1,2,4,5,6,8,12)Dominic Miller,Nick Patrick/Tracks(11)Dominic Miller,Nick Ingman,Nick Patrick,Alejandro Lerner/Tracks(10)
・Mixed By – Andy Green, Nick Patrick
・Recording - Angel Studios, Islington, London, England (03/2003); Budapest Radio Studios (03/2003); Forum Music Village, Rome, Italy (03/2003); Shire Studios, Wiltshire, England (03/2003); Studio Mega, Paris, France (03/2003). 
・Mastered By – Andy Jackson
・Photographer - Paul Cox

■ Songs ■

01. Mass In B Minor[BWV232 Qui Tollis Peccata Mundi]/J.S.Bach(4:02)
    ミサ曲 ロ短調(J.S.バッハ)
02. Adagio In G Minor/R.Giazotto,T.G.Albinoni(5:06)
    アダージョ ト短調(アルビノーニ)
03. Shape Of My Heart-Feat.Sting/Dominic Miller,Gordon Sumner(4:27)
    シェイプ・オブ・マイ・ハート/Featuring スティング(ドミニク・ミラー/ゴードン・サムナー)
04. Air On A G String[Orchestral Suite No.3]/J.S.Bach(4:30)
    G線上のアリア(J.S.バッハ)
05. Presto[Violin Partita In G Minor]/J.S.Bach(2:19)
    プレスト~無伴奏ヴァイオリン パルティータ ト短調(J.S.バッハ)
06. Ave Maria-Feat.Placido Domingo & Sting/F.Schubert(4:24)
    アヴェ・マリア/Featuring スティング&プラシド・ドミンゴ(F.シューベルト)
07. Nimrod[9th Variation-From Enigma Variations]/Edward Elgar(2:43)
    二ムロド〜エニグマ変奏曲から第9変奏(エルガー)
08. Gymnopedìe No.1/Erik Satie(4:08)
    ジムノペディ 第1番(エリック・サティ)
09. Misa Criolla [Kyrie]-Feat.Placido Domingo/Ariel Ramirez(4:08)
    ミサ・クリオージャから キリエ Featuring プラシド・ドミンゴ(アリエル・ラミレス)
10. Mi Fe-Feat.Alejandro Lerner/J.S.Bach(4:38)
    ミ・フェ(シャコンヌ~無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番)Featuring アレハンドロ・レルネル(J.S.バッハ)
11. Prelude No.3 For Clavier-Feat.Chris Botti/J.S.Bach(4:48)
    クラヴィーアのためのプレリュードNo.3 Featuring クリス・ボッティ(J.S.バッハ)
12. Moonlight Sonata [Piano Sonata No.14-Adagio sostenuto]/Ludwig van Beethoven(4:08)
    ピアノソナタ 第14番《月光》第1楽章       

■ Release ■

■ Release Date:2003
■ Rabel:Inversion Records(UK&Europe)
■ Number:WMSF 6070-2
■ CD,Album
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■ Release Date:2004
■ Rabel:Decca (Europe)
■ Number:475 479-2
■ CD,Album
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■ Release Date:2004
■ Rabel:Decca(US)
■ Number:B0002090-02
■ CD,Album
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■ Release Date:2004
■ Rabel:Decca(South Korea)
■ Number:475 613-9 DH
■ CD,Album
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■ Release Date:2004
■ Rabel:Decca(Australasia)
■ Number:DOM3CD
■ CD,Album
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■ Release Date:2004
■ Rabel:SBS(Australasia)
■ Number:475 613-9 DH
■ CD,Album
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■ Release Date:2004
■ Rabel:Decca(Canada)
■ Number:475 613-9 DH
■ CD,Album
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■ Release Date:2006
■ Rabel:Decca(Japan)
■ Number:UCCL 9045
■ CD, Album, Stereo

■ Commentary ■

ドミニクの2003年にリリースされた3stソロアルバムです。バッハやベートーヴェン、エルガーおよびアルビノーニといったクラシックの要素をふんだんに取り入れた意欲作で、2004年3月に改訂してクラシックの名門レーベルDeccaより再発売され、世界中で100,000枚を超えるヒットとなりました。

ですから私が所有しているのはデッカが日本向けにリリースしたものになりますが、2003年に「Inversion Records」という所から出た初版の内容を見ると、それは曲の収録の順番が違ってるのと、大きな違いとしては映画「Once Upon A Time In The West」からエンリコ・モリコーネ作曲の「Jill's America」という曲が収録されているようです。

この作品を聴くと彼が演奏している音楽を尊重し、愛していることがシンプルに伝わってきます。彼がとても新鮮な気持ちで音楽に向き合い、曲に対して感じた感動をそのままストレートに、自然に表現しようとしているのが伝わります。
しかし実を言うと、私は初めて聞いた時「この作品をどのような音楽として捉えるべきか」と悩みました。でもこの悩みは完全に個人的な理由によります。それは私が10歳ごろまでは完全に「純粋な」クラシック音楽ばかりを浴び、その後は他の音楽を聴きつつもずっと「純粋な」クラシックに触れていた人間だ、という理由によります。だから私はこういう「純粋ではない」アプローチのクラシック音楽を全く聴いた事がなかったのです。だから最初聴いた時は「普通のクラシック」だという認識でこれを聴いてしまったので少し戸惑いました。

ですが、きちんと聴いて、かつドミニク自身が書いたライナーノーツを読んでとても納得しました。

「このアルバムの制作は、僕にとって発見の旅そのものだった。(中略)ポップ、あるいはコンテンポラリーの世界から出てきた僕にとって、こうした作品の成り立ちや性質を理解し、再構築するために、まずはそれを解体してみるというやり方でアプローチする事は重要だった。さ私には主に2つのルールがありました。1つは作曲家と誠実につながること、もう1つはあなたに対してできる限り誠実に接することです。」

ドミニクは学生時代にクラシックを学んでいます。ですが厳格な意味でのクラシックの教育ばかりを長く受けていたわけではなさそうです。なのでこのコメントにあるように、このアルバムの音楽は当時のドミニクが彼としてそれぞれの曲を理解し、最大限作曲者の意図に敬意を払いつつも自分が表現したいエッセンスを加えて再構築してみせたものであり、POPの世界にいるミュージシャンが単純にクラシックにチャレンジした、というものではない。だからクラシックギターの作品は敢えて選ばれていません。

この当時の彼なりの曲の「再構築の仕方」に対して、リスナーの賛否は当然あると思います。クラシックに対しては皆それぞれの思い入れがあるものです。私自身、このアルバムを改めて聴くと「ちょっとこの曲のアレンジはどうかな?」と思う曲やストリングスも過剰だな、と思う曲があります。ただ思うのは、今のドミニク・ミラーが再びこの企画に挑戦したら、恐らく全く違う作品になるだろうという事です。今の彼ならこういう作り方はきっとしないと感じます。

この作品が最も重要だと思うのは、ドミニクがクラシックの曲に真剣に向き合い、理解し、新しい発見を沢山したというその経験のプロセスです。その経験は間違いなくその後のドミニク・ミラーという音楽家に多大な影響を与えています。それがこの作品の意義だと私は思っています。

個人的にお気に入りの曲はエルガーの曲とベートーヴェンの月光です。エルガーの曲に関しては、元々の曲の持っているシンプルなメロディでありながら美しい抒情的な風景とドミニク・ミラーという音楽家の誠実で素直な面がとてもマッチしていると感じます。月光に関してはあのピアノ曲の美しい世界がギターによってここまで表現されたことに驚きました。この曲のチョイスは正解だったと思います。

Dominic's commentary

1999年の”ブラン・ニュー・デイ”ツアーに入る直前にスティングからバッハの本を贈られ1、「きっと心奪われるはずだよ」と予言めいた事を言われた。その時点でスティングに何かアイデアがあったわけではない。自分も最初あまり気に留めていなかった。しかしそのうちスティングの言う通りになった。僕はバッハに取りつかれてしまったのだ。ツアー中、コンダートが終わると他のメンバーは街に繰り出すが、僕はホテルの部屋にこもり、どうしたらこの偉大なる男がヴァイオリンのために書いた「パルティータ」をギターで演奏できるか、その研究に没頭した。

「Shapes」で私が使ったギターは、1986年にスペインのコルドバで作られたロドリゲスでした。フィル・コリンズとの「Another Day in Paradise」と、スティングと一緒に録音したほとんどのアルバムで使ったのと同じギターです。私が使っているロドリゲスはスペインのコルドバで作られています。それは年に約10個ほどしか生産されません。

「Presto」では2本のギターを使っている。ギター1本でこれができればいいのだけど。メイン・パートはヴァイオリン用に書かれたものをギター1本(1オクターブ低い)で弾いている。私はリズム・ギターのアレンジを加えた。そしてベースラインを加え、最後にパーカッションをすべてギターで演奏した。それと手拍子も。ズルいとも言えるけど、レコードを作るということは、レコーディングという実験するには完璧な環境にいるということなんだ。この曲のソロ・バージョンはライヴでも使えるけど、スタジオではそうはいかない!J.S.バッハのパルティータとソナタの本から音符を取ったんだ。私は全く同じ音を弾いているが、ベースとリズムに違うパートを加えている。

スティングとプラシドのヴォーカルには私は立ち会わなかった。スティングはパリで、プラシドはイタリアで、私はイギリスでアルバムを仕上げるのに忙しかった。でも、私はセッションのことはすべて知っている。プラシドはローマでオペラを歌い、大使主催の夕食会に行ってから午前1時にスタジオに向かった。信じられないほどの献身ぶりだ。彼は午前3時までそこにいた。オペラの後のレコーディングは声帯が緩むので好きだという。彼がレコーディングに参加してくれて本当に嬉しい。その後、彼に会って彼の経験について話し、もちろんお礼を言った。「Misa Criolla」での彼のパフォーマンスは魔法のようだと思う。スティングはいつもの素晴らしいボーカルを披露してくれた。

アルバム『Shapes』には、私の編曲によるパルティータが2、3曲収録されている。本格的な演奏はあえてしない。それはジュリアン・ブリームやジョン・ウィリアムズのようなスペシャリストに任せたい。

■ Video ■

Dominic Miller - Air on a G string - JS Bach HD

非常にシンプルでわかりやすく、ドミニクのバッハに対する「敬意」と「愛情」が感じられる演奏です。バッハの音楽は、あまり感情を込めて弾くべきではない音楽なので、このアルバム『Shapes』の録音の仕方は、時にストリングスが雰囲気を出しすぎているようにも思える時があります。
しかし、この作品はそのままクラシックを演奏した作品では無いし、下記の解説にもあるように、これは彼がクラシック音楽と真正面から向き合い、多くの偉大な発見をした意義深い作品であることは間違いない。この機会がなければ、ドミニク・ミラーの音楽は今とは違ったものになっていただろうと思います。
しかし、この作品はそのままクラシックを演奏した作品では無いし、下の「Commentary」にもあるように、これは彼がクラシック音楽と真正面から向き合い、多くの偉大な発見をした意義深い作品であることは間違いない。この機会がなければ、ドミニク・ミラーの音楽は今とは違ったものになっていただろうと思います。

■ Review-1 ■

レビュー:『SHAPES』は、バッハ、サティ、シューベルトなどのクラシックの楽曲を、ドミニク・ミラーのラテン音楽の影響を受けたアコースティック・ギターのために再構成したコレクションである。ベテランのセッション・プレイヤーであるミラーは、様々なアーティストと共演しており、特にスティングとは、絶賛された『THE SOUL CAGES』を含む11枚のアルバムをレコーディングしている。ライナーノーツでミラーは、バッハのパルティータとソナタの本をスティングから贈られたことが、この野心的なプロジェクトのきっかけになったと述べている。バッハの合唱曲である「ミサ曲ロ短調(Qui Tollis)」は、このアルバムの意外な逸品のひとつである。ミサ曲の旋律構造を逆転させたミラーは、ヴォーカル・ラインを瑞々しい弦楽器のアレンジに置き換え、ギターで対旋律を探求している。この斬新なアプローチこそが『SHAPES』の醍醐味である。これらの愛すべき楽曲を深遠に刷新し、なおかつオリジナルの情熱と畏敬の念を込めて演奏するミラーの能力には目を見張るものがある。「アヴェ・マリア」は、ミラーが手をつけないと決めた1曲だ。彼はこの曲を作曲されたとおりに演奏するが、友人のプラシド・ドミンゴとスティングを招いてデュエットさせる。その結果、『SHAPES』の高い輝きに深みを加えるだけの名演が生まれた。[CD Universe]

■ Review-2 ■

レビュー:水曜日、私は東京からの交換留学生でいっぱいのクラスで話をした。授業の焦点はポップカルチャーで、特に音楽に重点を置いていた。私の自己紹介では、「なぜ音楽を聴くのですか?20代前半の学生たちは皆、リラックスするため、時間をつぶすため、思い出すため、幸せになるため、癒されるため、慰められるために音楽を聴くと言った。彼らは音楽が持つ力が好きなのだ。最近、私には心地よい音楽が必要だった。だからクラシック・ギタリスト、ドミニク・ミラーの「Shapes」を聴いている。
デッカ(デビッド・ランツの本拠地)からリリースされた「Shapes」は、12曲からなる安らかな夢への旅だ。このCDには、ミラーの複雑なクラシック・ギター演奏だけでなく、ニック・イングマン指揮のロンドン・セッション・オーケストラとブダペスト・フィルム・オーケストラによるバック・アレンジも収録されている。さらに、ミラーは数人の音楽ゲストを呼び、いくつかの曲でユニークな声と楽器を加えている: スティング、プラシド・ドミンゴ、アレハンドロ・ラーナー、トランペッターのクリス・ボッティだ。彼らはこの敬虔なアルバムを感動的かつ上品に彩っている。(ミラーとボッティは2000年の「Brand New Day」ツアーでスティングのバンドで演奏している)。スティングとドミンゴはシューベルトの「アヴェ・マリア」で共演し、ソロでも出演している。
スティングはミラーとの共作「シェイプ・オブ・マイ・ハート」で、ドミンゴはアリエル・ラミレスの「ミサ・クリオージャ(キリー)」を美しく歌っている。ラーナーはバッハの「Mi Fe」で聴かせ、ボッティのやさしいトランペットは「バッハのクラヴィーア前奏曲第3番」で情熱的に鳴り響く。CDはバッハの「ミサ曲ロ短調(Qui Tollis)」で始まり、アルビノーニの「アダージョト短調」に移る。私のお気に入りの1曲は、CDの最後を飾るベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ第14番月光」で、ピアノではなく、ミラーの魅惑的な指弾きによって命を吹き込まれている。もう1曲は、エドワード・エルガーの「エニグマ変奏曲」からの「ニムロッド(第9変奏曲)」で、このところのスモッグと寒さとは対照的に、のどかな陽光と緑の野原を感じさせる。他にも、エリック・サティの「ジムノペディ第1番」や、バッハの「管弦楽組曲第3番」(このCDでは「G線上のアリア」と呼ばれている)など、心なごむタイトルが並んでいる。「Shapes」は、人生が重くなったときに聴きたいCDだ。辛い時や悲しい時にぴったりだ。【The Deseret News】

  1. 「ヴァイオリンのためのパルティータとソナタ」 著者:J.S.バッハ ↩︎
  2. Partitas and Sonatas for violin. Author J.S.Bach. ↩︎