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Music By David Heath & Dominic Miller

■ Music By David Heath & Dominic Miller

Dominic Miller - Soy Argentino (acoustic guitar)

■ Musicians ■

Dominic Miller(ドミニク・ミラー):G
■ David Heath(デヴィッド・ヒース):Flute
■ Scott Firth (スコット・ファース):Ba
■ Andy Barron (アンディ・バロン):Ds/Track:
■ Matthew Constance (マシュー・コンスタンス):Ds/Track:A3
■ Peter Pettinger (ピーター・ペッティンガー):Piano
■ John Hurst (ジョン・ハースト):Synthesizer
■ Mike Lindup (マイク・リンダップ):Synthesizer/Tracks: B1,B3,B4
■ Peter Griffiths (ピーター・グリフィンス):Synthesizer
■ Jeff Gordon (ジェフ・ゴードン):Sax
■ Anne Wood (アニー・ウッド):Violin
■ Eugenio Suarez(エウヘニオ・スアレス):Per
■ Lindsay Moore (リンゼイ・ムーア):Vo/Track:B5

・Recording - Elephant Recording Studio(London)1985
・Producer - Dominic Miller, David Heath
・Engineered and Co Produced By – Nick Robbins
・Mastered By – Dave Glasser

■ Songs ■

A Side - David Heath
A1. Out Of The Cool(5:25)
A2. No Go Zone(9:47)
A3. In From The Cold (Dedicated To Paul Vander-Molen)

B Side - Dominic Miller
B1. Iguazu(4:09)
B2. Soy Argentino(4:17) - was Played on a Chris Bowling
B3. If You Could See(5:18)
B4. Front Line(3:44)
B5. You Were The One(4:44)

Written By:Dominic Miller(Track:B1,B2,B3,B4,B5)

■ Release ■

■ Release Date:1985
■ Rabel:Grapevine(UK)
■ Number:GV0001
■ Album

■ Video ■

Dominic Miller IGUAZU [album] Dave Heath/Andy Barron/Mike Lindup/Scott Firth
IGUAZU Album

■ Commentary ■

アルバムと「IGUAZU」について

『Music By David Heath & Dominic Miller』、これは1985年にリリースされた作品です。

ドミニクが古くから親交のあるイギリスのフルーティストデヴィッド・ヒースと双頭名義で出したレコードです。

内容を見ると恐らくこれはA面がデヴィッド・ヒースの作品、B面がドミニクの作品として、分かれていると思います。と思います、というのは残念ながら私は前のディラン・ファウラーの作品と同様に、このレコードは持っていないので、詳細がよくわからないんです。

だけど、アルバムの裏ジャケットから読み取れる事を書いていきます。
まず、この2人の共通項は、2人が通っていた「ギルドホール音楽演劇学校」ですね。後、このギルドホールでドミニクと恐らく同窓生?のヴァイオリストのナイジェル・ケネディの名前があります。ナイジェル・ケネディは説明する必要ありますか?非常に著名なヴァイオリストですね。

まずここには、
「ドミニクは1981年のエディンバラ音楽祭でディラン・ファウラーと共演し、翌1982年にはデイヴィッド・ヒースとナイジェル・ケネディも加わって共演したようだ。そして、彼らは精力的に活動を続け、1984年にはアルバム『The Latin/Jazz Guitars Of Dominic Miller And Dylan Fowler』をリリースし、サンデー・タイムズ紙の ”Guitar Album Of The Year” に選ばれた。」と書いてあります。

また「彼ら(ドムとディラン)の評判は大西洋の両側で確立されていた。1984年、ドミニク・ミラーはデイヴィッド・ヒースを擁する自身のグループ、“Iguazu”を結成し、“Iguazu”の最初のレコードはドイツとオランダでリリースされ、まもなくイギリスでもリリースされる予定である。」と書いてありますね。

1984年の段階で、「彼らの評判は大西洋の両側で確立されていた。」んですね。私たちの多くはドミニクのことは1989年のフィル・コリンズの「…But Seriously」辺りからしか知らない人が多いと思いますが、もうその5年前、24歳の時にはイギリスでは「評判のギタリスト」になってたんですね。

ドミニクがディラン・ファウラーとのユニットの後、デヴィッド・ヒースと自身のグループ、『Iguazu』を結成するわけですが、ちょっとこのアルバムの文章には私が知らなかった事が書いてあります。
私はこの『Iguazu』というグループはメジャー・レーベルと契約できなかったので、彼らの作品は世界的にリリースされていないものと思っていたんですが、この文章を読む限り、ドイツとオランダでリリースされているようですね。
『Iguazu』の音楽については、このサイトのドミニクとディラン・ファウラーとの仕事についての記事で取り上げたましたが、もう一度触れておきます。とてもハードなジャズ・フュージョンです。あの時代の雰囲気が感じられますね。でもとてもカッコいいです。当時のドミニクが作りたかった音楽がよくわかります。

そして、このアルバムから唯一「Soy Argentino」(私はアルゼンチン人だ)という曲をYouTubeで見つけたので上に投稿しました。ドミニクとクリス・ボウリングという人の2本のギターによる、とても素晴らしい壮大な構成のカッコいい曲です。2人の演奏のテクニックもすごいです。素晴らしいので、ぜひ聴いてみてください。
イントロはゆったりとした美しい倍音のメロディが楽しめますが、01:50くらいから曲は一転、ドミニクが今のドミニクからは想像出来ないようなすごい速さでかなりハードに弾いています。まるでジスモンチやマクラフリンの速弾きのようです。今のドミニクはそんな演奏はしないし、もうそんな曲は弾いていないから、今の彼しか知らない人が聴いたら本当にこれは驚くと思います。

しかし、ドミニクはクラシック・ギターの確かな技術的素養があり、技巧派であるブラジルのギターの巨匠セバスチャン・タパジョスに師事したこともあるので、このレベルの演奏技術があって当然なんですけれど、現在の彼は「敢えて技術を表に出さない演奏」をしているので、今の彼の演奏しか知らない人には一度ぜひ聴いてもらいたいですね。意外な発見がある本当に素晴らしい作品です。

音に対する意識と音楽性

他の曲に関しては私は聞いていないので書くことはできません。ただ、せっかくなので、ドミニクの昔から親交の深い、デヴィッド・ヒースの曲「Out Of The Cool」を聞いてみました。私も一応10歳から12年くらいはかなり真面目にクラシックのフルートを勉強していた人間なので、ちょっと気になったんで。(笑)

OUT OF THE COOL (1975) - dave heath - flute/peter pettinger - piano

この曲「Out Of The Cool」は大変素晴らしい曲ですね。フォーレやプーランクといったクラシックの作曲家のテイストが色濃く感じられますすが、JAZZの要素も沢山入っていて、クラシックとJAZZの中間的な作品です。革新的な素晴らしい傑作だと思います。私がもしまだフルートを続けていたら、演奏してみたくなったと思います。彼の演奏自体も素晴らしい。ドミニクと同様にちゃんとクラシックの基礎を学んでいる方でしょう。

ただ、やはり音に関しては、彼の音は「やはりこれは純粋なクラシック音楽の音ではなく、ややJAZZ寄りの音だな」と感じます。JAZZのフルートの音としてはものすごくデヴィッド・ヒースさんは美しいんですが、やっぱり完全なクラシックの音とも少し違うと感じます。
私はドミニクと同じようにロックやJAZZも好きですが、基本的には完全にクラシック出身の人間なので、誰かの音楽を始めて聴くときは、最初の数小節の「音」をものすごく集中して聞きます。ほんの僅かな演奏時間で、その人の音楽のバックグラウンド、どういう音楽を学んできたのか、得意とするものは何か、など様々な事を想像します。これはもう恐らくクラシック音楽出身者のどうしようもない癖だと思います。

このJAZZの音とクラシックの音の微妙な違いに対する感覚が他の方に正しく伝わるかはわからないんですが、やはりその音楽の種類によって適した音色が確実に存在すると思います。私自身もクラシックを学びながらフルートでJAZZに挑戦したことがありますが、クラシックの音色をそのままJAZZに持ってくると明るすぎて全体から浮いて聴こえるんです。やはりJAZZではもう少しスモーキーな音が似合うし、そういう音を求められる。

じゃあ、クラシックをやる時とJAZZを演奏するときは音を少し変えればいいじゃないか、と思う人もいるでしょうが、それはそう簡単にできる話ではないんですね。アコースティックの楽器の場合、その両方の音を追求することは、どっちも中途半端になることが多いと思います。実際、私自身は少しフルートでJAZZの曲を練習したら、その後のレッスンで先生にすぐにバレて「あなたは今何をやろうとしているのか」と非常に怒られました。で、諦めてクラシックに専念しました。私が10歳でフルートを始めてきた時からずっと頭の中に理想としてあったのはSir James Galwayの音だったから、それをスモーキーな音に変えたくなかったんです。

ドミニクはギターを始めた比較的早い頃にクラシックを学んでいる人ですから、POPSやロックのの音楽を長くやってきた人の中では相当に音に対する意識が高い人です。というか、私がドミニクが好きなのは、楽器に頼らずに、自分自身でどれだけいい音が出せるか、という事を非常に追求しているミュージシャンだからです。

私はその人が出す音はその人の音楽への意識がどういうものなのか、その人の音楽性はどういうものなのかという事をとてもはっきりと表すものだと思っています。