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About “Shape of My Heart”

■ About “Shape of My Heart”■

ドミニクの事を話す場合に、スティングの代表曲であるShape of My Heartについて話さないわけにはいきません。ドミニクが作曲したこの曲は世界中であまりにも有名になりました。しかし、なんだかこの曲の演奏方法については、何やら「間違った情報」が広まってしまっているようですよ?
It is impossible to talk about Dominic without mentioning Sting’s signature song, The Shape of My Heart. This song, composed by Dominic, has become all too well known around the world. However, there seems to be a certain amount of ‘misinformation’ about the way the song is performed.

ドミニク・ミラーが作曲した史上最も有名なリフ
Dominic Miller Wrote The Most Famous Riff Of All Time

Dominic Miller Wrote The Most Famous Riff Of All Time
Sting - Shape of My Heart (Official Music Video)
Sting – Shape of My Heart (Official Music Video)
ドミニクの事を語るなら、避けて通れないのがこのスティングとの共作である『Shape of My Heart』という曲の事でしょう。オリジナルはスティングのアルバム『Ten Summoner's Tales 』(1993)に収録されています。この曲は世界中で、もちろん日本でも非常に愛されている曲です。しかし、特に日本では知らない人が多いのですが、この曲はドミニクが書いたものです。スティングが担当したのは作詞です。この曲は2人の共作です。この事は最初に知っておいてください。

この曲は、歴史に残る名作です。世界で大ヒットしたリュック・ベッソン監督の映画『LEON』のエンディングに使われた事もあり、もはや「古典」といってもいいくらいに世界中の人に広まり、愛されている曲です。世界中の多くの人が演奏したり、或いは自分の曲の一部として使っており、無数のヴァージョンが存在します。

この曲に関して、ドミニクがつい先日YouTubeで公開されたリック・ビアトさんとのインタビューの中で詳しく話しているので、それをご紹介しましょう。リック・ビアトさんとのインタビューは過去にもスティングと一緒に出演して非常に話題を呼びました。その時のインタビューについては後日ご紹介します。

この最近の動画についても、とりあえずここでは『Shape of My Heart』に関することだけ言及します。この動画は収録時間が1時間以上にもなり、『Shape of My Heart』の話題以外にも、最近彼が取り組んでいる仕事の事やスティング事など多くのトピックについて話しています。ですからこのインタビューについてはトピック毎に内容を分割して投稿していきます。

まず、このインタビューの話に入る前に、この曲がどういう風に作られたのか、その背景を最初に説明します。
この曲は最初はドミニクが自分のギターの練習用のモチーフとして作って弾いていたものでした。その話を過去のリック・ビアトの動画にスティングと一緒に出た時にこう話しています。

「あのリフの背後にある真実は、私が実際にそのモチーフを自分自身のための練習として思いついたということです。単なるウォームアップ練習としてでした。6度の和音です。あのリフの真意は、6度の和音に基づくウォーミングアップの練習として、自分のために思いついたモチーフなんだ。ショパン・タイプのコード、ピアノのコードからインスピレーションを得たんだ。ジョン・マクラフリンがコード・シークエンスを書くのと同じように私はただそれをいじっていただけです。彼は3度をあまり明確に表現していなくて、6度でそれが何なのかを表現していた。それで、私はただそれを楽しんでいた。」

そのドミニクの練習用に弾いていたモチーフを気に入って 、ちゃんとした曲にしようと言ったのがスティングです。スティングはそのドミニクの練習曲をヘッドホンで聴きながら散歩に出かけ、数時間後には歌詞を作ってきた。そしてたった1日で誕生したのが、この『Shape of My Heart』という曲です。だからドミニクは「自分はその練習用のものを曲にするつもりなんかなかったから、そこに目をつけたのは、スティングのソングライターとしての想像力だ。」と話しています。

さあ、ここから本題です。このリック・ビアトとの動画でドミニクが この曲の演奏について話している事を整理します。

まず、冒頭でリックがこのように語っています。
「人々が YouTube で 『Shape of My Heart』 を間違って演奏しているという事実について話していました。」

それに対してドミニクはこのように語っています。
「人々がそれを解決しようとしてくれていることを嬉しく思います。私がこれを思いついたときは特に真剣に考えていたわけではありませんでした。それはそういったよくある間違いの1つです。正直に言うと、人々が『これがうまくいく方法だ』と教えるつもりなら、少なくともそれを正しく理解してください。」

つまり、YouTubeを見ると、確かにこの曲の「演奏方法」の解説動画はいっぱいありますが、しかしそれらの動画の多くは「間違っている内容のものが多い」と言ってるわけです。私はギターを弾かないので知らなかったのですが、この曲はシンプルなようでいて、実はギタリスト泣かせの演奏が難しい曲らしい。

さあ、ではどうしたらこの曲を演奏してみたいギタリストは一体どうしたらいいんでしょうか?そしてその「間違った情報」が広まった「原因」は何なんでしょうか?

色々と話がややこしいので、結論から言います。

皆さん、以下の赤い壁部屋のビデオでドミニクがやっているように見えることを参考にしないでください。このビデオはあくまでも撮影用であり、ドミニクはオリジナルと同じように演奏しているわけではありません。したがって、このビデオを見てこの曲を理解するのは『間違い』です。
Sting - Shape Of My Heart
この『Shape of My Heart』という曲には、演奏の時に問題になる「厄介なコード」があります。それが上の写真の赤枠で囲っている部分のコードです。では、この枠内の部分をドミニクはオリジナルである『Ten Summoner's Tales 』収録時にどのように弾いていたのでしょうか?

ドミニクはその事を(0:48)あたりから説明しています。
彼がこの曲のオリジナル録音時に使っていたのは一般的なアコギではありませんでした。使っていたのは上の写真で彼が弾いているフェルナンデス、P-Project/A1-Nというエレクトリック・ナイロンストリングス・アコースティックギターでした。このギターの形状はほぼエレキギターと同じですから、ボディ下側の「カッタウェイ」の部分が深いので、ハイポジションのコードでも弾きやすい。だからオリジナル録音時にはドミニクはかなり高い位置でこのコードを弾いていました。

しかし、アコースティックギターを使用する場合、P-Projectのギターと違い、「カッタウェイ」は無いので、そんな高い位置で演奏するのは弾く事は難しい。だからライブの時、ドミニクは少しだけ演奏方法を変更しました。そして、その高めの位置で「問題のコード」を弾く方が今皆さんがトライしている方法より本当は簡単なんですね。

そして実はドミニクはそのライブの方法を更に変えました。なぜならライブでそんなに高い位置で演奏すると、チューニングだったり音調の問題が出てくるので、ドミニクはこの部分のコードをもっと低い位置で弾くように再度「変更」しました。それが現在のライブでの基本的なやり方でした。

ただ、この低い位置でこの「問題のコード」を「立って」演奏するのはドミニクでも非常に難しくてキツイ。だから「立って」いる時は少し弾きやすいように改良して最近まで長い期間演奏していたそうです。

「最近まで」。そうなんです。最近は立っていても本当の難しいやり方に戻して演奏しているそうです。
何故なら彼が最近見た、この曲の弾き方を解説しているYouTubeの「ある動画」で、「この難しいコードは作曲者のドミニク・ミラーでさえライブで演奏することを避けている」と配信者に言われてしまったからです。だからドミニクは正しい演奏に戻した理由を「その動画の配信者に正しく理解してもらいたくて、難しいし本当に苦労しているけどちゃんとやってるんだ!」って言っていますね。

まあこれはドミニクの一種のジョークでしょうが、こういう風に彼が言うのは、やっぱりこの曲の演奏方法に対する誤解が広まってしまっているからでしょうね。その誤解の元になってしまっているのが上にある、スティングとドミニクがスティングの赤い壁の部屋で2人でこの曲を演奏している動画なんです。

この赤い壁の動画でのドミニクの指の動きを見てもダメなんです。この赤い壁のビデオでのドミニクの指の動きは正しくないんです。この動画は単なる撮影用でした。しかし「ある動画」の配信者は、この赤い壁の映像を見ながら、一体これはどうなっているんだ、理解できない、ひょっとしたら弦のチューニングが変更されているのではないか?とまで推測している。
Sting - Shape Of My Heart (CD Ten Summoner's Tales)
だけどドミニクはそんな妙な事は一切考えていなかった。それはこのリフが転調しようが弾き方は同じです。(この上の動画で確認してもらえればわかりますが、この曲は02:20辺りで一度リフは転調し、また戻ります。)

これに関しては、ドミニクはみんながこの赤い壁の動画を真剣に見ているとは全く予想外だった、でもこんなこの曲に関する色んな経緯は自分以外の他の人にはわかるわけないから、その動画の配信者や他の人たちが悪いわけでもなんでもない、と言っています。そして、

「でもいいんだ。こういうのは全部いいんだ。YouTubeの配信者やエデュケーターだって、自分のやっていた詳細が正しく伝わっていなかっただけなんだ。こんなこと誰にもわからないよね。でも、そんなことはどうでもよくて、みんながこの曲を弾きたい、この曲を教えたいって思ってくれることが本当に嬉しいんだ。だからもしちゃんと弾きたいと思ってるなら、ちょっとトリッキーな曲だから、みんなに弾き方を教えてあげたいんだ。」と言ってます。

ではこの曲を「正しく」演奏するにはどうしたらいいでしょう?そしてその為のドミニクからのアドバイスは?
ベースラインの最初の8分休符と、続くシンコペーションのリズムをしっかり意識する。しかし本当に静かに。

このリック・ビアトの動画の(05:20)辺りからドミニクが演奏しながら説明しています。
「多くの人が間違えているのは、最初の音符から始めるからです。でも、それだとロールしないんだ。ロールする必要があるんだ。今は明らかにベースを誇張してるけど、普段はブラッシングしてるだけだから本当に静かに演奏してるよ。」
確かに実際、ドミニクの演奏は最初の1小節目のベースラインは最初の8分音符が抜けていて、そのままシンコペーションになっています。そうしないと音楽が上手く自然なグルーヴで流れていかない、という事です。ドミニクが出している楽譜集Songbook for guitarの中でも、ちゃんとベースラインの頭は8分休符になっています。

しかし、これを出来るようにするためにはゆっくりと、そして音をちゃんと聞きながら練習してください。そうすれば上手くいく。

(9:46)辺りでドミニクが言っています。
「でも、もっと詳しく説明することもできるんだ。本当にこういうことは、ゆっくり取り組むのがコツなんだ。なぜなら、こうやってゆっくりやれば、うまくいく可能性がある。そしてその音に耳を傾けるだけでいい。」
これはもうドミニクがいつも言っているアドバイスです。この曲だけでなく、練習はゆっくり、ちゃんと音を聞きながらやることが重要です。

③ドミニク自身の解説動画を見ましょう。

やっぱり本人が解説してる動画を見て学ぶ方が一番為になるんじゃないでしょうか?

Dominic Miller Plays “Shape of My Heart” and More!
さあ、非常に長くなってしまいましたが、皆さん理解していただけたでしょうか?これで少しでも多くの人がこの曲を演奏するヒントになればいいなと思っています。

追記:今回、この記事を書くにあたって友達のギタリスト、Mr.TANIGUCHIに多大なるご協力を頂きました。どうもありがとう!私はギターを全く弾かないので、この話を最初理解するのに苦労しました。なんせドミニクが言っている「カッタウェイ」って何?何でハイポジションの演奏がエレアコのP-Projectでは演奏できてアコギでは出来ないの?から始まりましたから。本当に助かりました。どうもありがとう!