■ 5th House ■
■ Musicians ■
■ Dominic Miller(ドミニク・ミラー) :G ■ Nicolas Fiszman (ニコラス・フィズマン):Ba ■ Jimi Johnson (ジミ・ジョンソン):Ba ■ Pino Palladino(ピノ・パラディーノ) :Ba/Tracks ■ Vinnie Colaiuta (ヴィニー・カリウタ):Dr ■ Rhani Krija (ラーニ・クリジャ):Per ■ Mike Lindup (マイク・リンダップ):Synthesizer[Prophet5],Vo/Tracks(4,6,7,9) ■ Yaron Herman (ヤーロン・ハーマン):key ・Recorded at - Henson Studios(Los Angeles),Maarweg Studios2(Cologne),Les Cypres Studio(Provence)2005-2006 ・Producer - Dominic Miller ・Recorded and Mixed By – Dominic Miller ・Mastered by - Tony Cousins at Metropolis Studios ・Mixed By – Hugh Padgham at Sofa Sound Studios(London) ・Engineered By – Jamie Sickora, Patrick Bernard, Wolfgang Stach
■ Songs ■
01. Angel(5:37) 02. Embrace (3:46) 03. If Only (4:17) 04. Waves (4:06) 05. Tokyo (3:15) 06. Yes (3:21) 07. Catalan (3:15) 08. Dead Head (4:23) 09. Spirit Level (3:59) 10. Gate 23 (3:34) 11. (Mustard Seed)- Bonus Track(Album only) All Songs:by Dominic MIller
■ Release ■
■ Release Date:2012 ■ Rabel:Q-Rious Music(Ger) ■ Number:BC71023-01 A1 MK ■ Album ------------------------------------- ■ Release Date:03.30.2012 ■ Rabel:Q-Rious Music(Ger) ■ Number:QRM 116-2 ■ CD,Album ------------------------------------- ■ Release Date:2012 ■ Rabel:Q-Rious Music(Ger) ■ Number:QRM 122-1 ■ Album ------------------------------------- ■ Release Date:2012 ■ Rabel:Q-Rious Music(Ita) ■ Number:CD 096 ■ CD,Album
Commentary
このアルバムの制作背景
2012年に発売されたドミニクの7枚目のアルバムです。このアルバムでは前作『November』に続き、しっかり「スチール弦」を手にしている曲もあれば、重なるアコースティックのハーモニーが本当に美しい曲までかなりバラエティに富んだ印象のアルバムです。
全曲がドミニクの作曲で、2010年から2011年にかけてスティングとのツアーの間に書かれたものです。
アルバム制作の背景について詳しくは下の「Dominic’s Comments」を御覧下さい。『November』はスタジオでわずか14日間という異例の短期間でレコーディングされていました。そしてこの『5th House』 全体のレコーディングには 7 日もかからなかったという事です。
サウンドエンジニアはヒュー・パジャムです。ヒューはドミニクが世界の音楽業界で大きくブレイクするきっかけとなった、フィル・コリンズのアルバム『Bad Seriously』(1989)のプロデューサーです。ヒューはその後スティングのプロデューサーになり、スティングのオーディションにドミニクを推薦した人です。ですからドミニクとヒューはこの当時、既に20数年にわたる長い付き合いです。お互いにやりたい事に関しては完全に理解しあっている関係なので、録音後の作業はあっという間に終わったようです。
このアルバムのコンセプトについてドミニクは次のように語っています。同じエレキを使ったアルバムですが、どうやら前作『November』とはコンセプトは真逆だったようです。前作『November』では参加ミュージシャンに彼は「個性を出さないでくれ!」というリクエストを出しました。しかしこの作品については次のように語っています。
「『Fifth House』に対する私のアプローチは、これには満足していますが、これまで作ったことのないLAレコードを、アメリカらしい演出でLAで作りたかったということです。TOTOとプレイしたり、大きなレコードで演奏したり、セッションをしたりした人たちを知っていますね?そして私はそれが欲しかった、その個性が欲しかったのです。 彼らの個性が伝わってほしかった。」
なるほど。実際、ヴィニー・カリウタやジミ・ジョンソンという超強力なリズム隊はこのアルバムの聞きどころであります。ドミニクは音楽はアメリカのものも沢山吸収していますが、仕事自体はロンドンをベースにヨーロッパで活動していたのが殆どですから、L.A.のスーパー・セッションマン達のアメリカ式のやり方も知りたかったのだと思います。
ヨーロッパ的な音楽のやり方と、L.A.的なやり方の具体的な違いはちょっと私にはわからないですが、例えばLAのジャズクラブの老舗『The Baked Potato』でのスティーブ・ルカサーとジェフ・ポーカロの『The Baked Potato Super Live』の音源などを聴いたりすると、まぁ雰囲気自体違うだろうな、と感じます。(私にとってジェフ・ポーカロは最上級の神様です)音楽自体の雰囲気も全然違いますもんね。
ちなみにこれは、ルカサー、ジェフ、このアルバムにも参加してるジミ・ジョンソンとのセッション動画です。ヴィニー・カリウタがこの『The Baked Potato』でマイケル・ランドゥーやグレッグ・マティソンとやってる別のセッションの動画見ても、「そうだ!ここはヨーロッパじゃない!L.A.だ!」って感じはします。(ボキャブラリー不足ですみません)
しかしまぁこの動画見てもヴィニー・カリウタというドラマーは凄いです。私はスティングとジェフ・ベックのライブで合計5回くらいヴィニーは見ていますが、毎回凄すぎて呆れました。ドミニクとはスティングを通じての友達で、ドラマーを語る上では欠かせないこの伝説的な人物については、後日「Dom’s Friends」カテゴリーで紹介する予定です。
あと、ドミニクはこんな事も言っています。
「『November』で私は自分のサウンドを変えようとしました。時々、より危険な場所に自分の身を置くことは良いことです。その意味で、新しいアルバムは、音響面からではありますが、その遊び心の精神を維持しています。」
遊び心、というのは確かにドミニクは時々曲の中に取り入れます。代表的なのはアルバム『Third World』のラストトラック「Altea」、そして次のアルバムである『Ad Hoc』の1曲目、「Exiting Purgatory」でしょうか。ドミニクはリスナーをその遊び心で驚かせるのが好きな人です。「Exiting Purgatory」に関してはもう「お見事!」という感じで、その「遊びと仕掛け」で最高に楽しませて貰える曲なので、未聴の方は是非聞いてみてください。あなたのドミニク・ミラーというミュージシャンに対するイメージが少し変わるかもしれません。
なるほど。実際メンバー的にはヴィニー・カリウタやジミ・ジョンソンという超強力なリズム隊はこのアルバムの聞きどころであります。ヴィニー・カリウタというドミニクとはスティングを通じて昔からの仲間で、ドラマーを語る上では欠かせないこの重要なドラマーについては、後日「His Friends」カテゴリーで紹介する予定です。
曲について
曲についてですが、個人的に印象に残るのは、「Angel」,「If Only」,「Waves」,「Tokyo」,「Yes」,「Catalan」,「Dead Head」でしょうか。
「Angel」はECM移籍後の1枚目『Silent Light』(2017)にも収録された大変美しい曲です。これも聴き比べると面白いです。この曲も全然音が違う。また『Silent Light』ではキーが変わってますね。『Silent Light』は「音楽のSpace」を強く意識して作られたアルバムですが、曲のイントロでは『5th House』のほうがテンポが遅く、より「空間」を意識した演奏の間合いが強調されています。『Silent Light』はより自然に流れていくように感じます。そしてキーが変わっている事もあり、後者の方が明るい印象になっています。しかしドミニクは大変なロマンティストであります。なんだか彼がこの曲を作ったときの「Angel」とは何を指していたのか少し気になります(笑)
「If Only」はアウフタクトで始まってそのまま続くシンコペーションのギターのリフがまずカッコいい!凄く印象に残ります。恐らくこういう曲は日本人が演奏するとなんともだらっとした微妙に切れ味のないリズムになりやすく、こんな風にカッコよくきまらないだろうな、という気がします。そしてこの曲はとてもヴィニー・カリウタが素晴らしいです。
「Waves」。これはなんだか彼の中に湧き起こった少しエロティックな衝動、心のざわめきの波に関する曲のようです。それを知ってこの曲を聞くと、「ああ、なるほど。なんかわかるわ。」と私はとても納得しました。皆さんはどうでしょうか?彼は自分の思った事や感じた事を言葉で表現するより、音楽として表現する方が簡単だし、音楽が自分の言葉である、と言っています。それが自分の唯一の表現方法だと。
そういう事もあり、私はドミニクの音楽を聞く時は、他の人の音楽を聴くよりも、この曲の彼のインスピレーションがどこから来たのかをかなり想像します。彼がその時何をみていたのか、どう感じてこれを作ったのか、という事を強く想像しながら聴く事が多いですね。そしてそれを想像する事は私にとってはとても楽しい事です。
「Tokyo」。この「Tokyo」は後に『Hecho En Cuba』(2016)にも収録されます。これは非常に面白い曲です。どういうきっかけで彼が私たちの国の首都の名前の曲を作ったのか、私は理由は知りませんが、聞いた時は「へええ!これがドミニクの東京の印象なの?」と驚きました。私は出来れば人混みは回避したい人で、東京ではなるべくごちゃごちゃした所には行かない事が多いため、どちらかというと自分の東京の音楽的イメージはシティ・ポップやフュージョン、AOR系だったりしますが、ドミニクのこの曲は全然違います。でも、何度か聞いてるうちに、確かにこれは海外の人からみる東京、渋谷や新宿だったりするかも、と思いました。まず、リズムはカリプソのようなかなり強いリズムで、少しエキゾチックな雰囲気とせかせかした人の動きを連想させます。そして妙にどぎつい色の漢字の看板が全く統一感なく並んでいたり、小さな赤提灯の飲み屋があるすぐ横に妙に小洒落た建物があったり、とにかく東京は相当色んなものがごちゃ混ぜに存在しているように見えるんじゃないでしょうか?ですから一歩引いた目線で「東京」という街を見てみると、こんな感じかもね!ととても私は納得しています。
続く「Yes」です。この曲は前の「Tokyo」からの流れで聞くのがなんともカッコいい。「If Only」と同じで、アウフタクトで始まってそのまま続くシンコペーションのギターのリフがとにかくまずカッコいい。途中からいきなりヘヴィーなギターのリフが入り、そこに重なるドミニクのギターパートも最高。その後突然ドミニクとマイクのキーボードのユニゾンで変拍子のプログレの世界が展開される・・・。もうめちゃくちゃかっこいいです!ドミニクはなんだか「ギターソロを弾かないギタリスト」みたいに思われていますが、普通に短いけどやってるよ?(笑)まあ、彼は長々と自分の演奏を「ご披露」する事はないですが。
しかしこの曲などは、今のECM移籍後のドミニクの作品しか聞いた事がない人が聞いたらどういう感想を持つんでしょうか?私はこういう全然異質な世界が彼の中に同時に存在している事が面白くて大好きですね。
「Catalan」は曲の持つ世界観が素晴らしい。そして彼のアルペジオの音は本当に美しい。最初ドミニクの少しアイリッシュなルーツを感じさせるアコースティックギターと、マイク・リンダップのヴォーカルがすごく幻想的な景色を描きます。しかし、それもいきなり転調と変拍子の嵐が入ってきた後突然終わる。こういうドミニクのさまざまな作曲上の工夫のアイデアが私はとても好きです。「Catalan」とはスペインのカタルーニャ地方の言葉や人の事ですね。つまりはバルセロナのあたりです。バルセロナは私が大好きな街です。ドミニクにとってはこれがカタルーニャの印象なんですね!実に奥が深い!あと、この「Catalan」をスロベニア・フィルハーモニー管弦楽団とドミニクが屋外で共演している時の動画もいいですよ!オーケストラとすごく合ってる曲だと思います。
「Dead Head」。始まった瞬間から重なるドミニクらしい深いハーモニーの響きにうっとりします。本当にカッコいい!(すみません、表現の語彙が貧弱です。)「November」と同じかそれ以上にドラマチックなものを感じさせる曲です。しかし曲の最後では、ヴィニーの素晴らしいドラムソロの後に小さな女性の声が入り、ドミニクの引き裂くようなギターリフが重ねられます。この女性の声も、アルバム『Third World』の最後の曲「Altea」と同じように、ドミニクが電話で奥さんからダメ出しされている声なんでしょうか?(笑) 分からない、謎です。
タイトルの名前もなんだか意味深です。誰か知ってる人教えてください!
「Spirit Level」は少し軽めの曲調で、「Dead Head」の後なので少しホッとする感じがします。
その他情報
実はこの「5th House」が発売された2012年のドミニクのドイツ・レバークーゼンのジャズフェスでの演奏の動画がまるっとあります。
これは実にいいです。2010年の「November」からの曲もやっているし、最初の方ではレスポールを弾いていて「5th House」からの「Yes」なんかも演奏しています(09:45〜)。今のライブでは演奏しないような曲も多くあるので、ぜひ見てみて下さい。(Other Video Clips)
最後に、とても個人的に気になってる事があります。このアルバムのジャケットの写真の場所についてです。アルバムには書いてありませんが、これはメキシコにある、建築家リカルド・レゴレッタ設計のホテル、「Camino Real Polanco México」(カミノ・レアル・ポランコ・メキシコ)でしょうか?この左側のピンクの格子や正面の黄色い壁は多分そこの中庭だと思うんですよね・・・。私は一応一級建築士なので、仕事柄こういう所はめざといです(笑)リカルド・レゴレッタはメキシコの大建築家ルイス・バラガンの弟子で、彼もまたメキシコを代表する建築家でこのホテルは彼の代表作です。このホテルもバラガンの流れを汲む、カラフルな色使いとダイナミックな空間が特徴で、様々なアート作品がある、美術館のようなホテルです。だからアートが大好きなドミニクお気に入りの場所だったのかな?と思っています。ルイス・バラガンは実は日本の建築家にもかなり影響を与えています。特に安藤忠雄が有名です。私もバラガンの建築は大好きですし、いつかメキシコに行ってこのホテルには泊まってみたいです。
Dominic’s Comments
「アルバム制作について」:ドミニクは2010年から2011年にかけてスティングとツアーを行っている間に新曲を書いた。 「曲の雰囲気は、その時の私自身の気分を反映しています。」と彼は説明します。「ニュージーランドから戻った後、ロサンゼルスから出発して、旅先でトラックを録音したこともありました。 それが、ヴィニー・カリウタとジミー・ジョンソンに実際に時間の余裕があるかどうかを確認する唯一の機会でした。前作のアルバム『November』(2010年)は、スタジオでわずか14日間という異例の短期間ですでにレコーディングされていた。 しかし、『5th House』はこのタイミングをさらに上回ります。 全体として、アルバムのレコーディングには 7 日もかかりませんでした。 そして私とヒューは 1 日に 2 曲をマスタリングしました。 レコーディングとミキシングの全プロセスは 12 日以内に完了し、それ以上はかかりませんでした。 今、比較して 90 年代を思い出してみましょう。当時は、少なくとも 12 週間かかったと思います。 もちろん、最終結果はもっと洗練されたサウンドになったかもしれませんが、私はこの方が好きです。 60 年代と 70 年代の私のお気に入りのアルバムの多くはこの方法で制作されました。本当に早く制作されました。」
「アルバムタイトルについて」:タイトルに5番目のものが欲しかったのですが、これが最も目立たないものでした。もちろん、『5番目の要素』や『憲法修正第5条』を選ぶこともできました。占星術では、第5ハウスは『愛と情熱のハウス』を意味します。
■ Video ■
これはドミニクの代表曲である『Rush Hour』の演奏です。YouTubeでは探しにくいけど、ライブの雰囲気がよく伝わりそうな動画を敢えて選んでいます。この動画の中で、45秒くらいからちょっとしたブレイクの後に始まる部分が、この『5th House』のアナログ盤のボーナス・トラックに入っている『Mustard Seed』です。物凄くかっこいいですよね。ですが最初の『First Touch』に収録されてる“Rush Hour “にもこの部分は無い。つまりこのバージョンの”Rush Hour “の構成はライブでしか聴けないんですね・・・。でもこの『Mustard Seed』の部分が挿入されるのがいいんですよ。。。だから皆さん、ドミニクのライブに行きましょう!こんなライブを近くで見たら鳥肌ものです!しかしラーニ・クリジャのパーカッションも凄いし、マイルスのドラムもニコラスも、みんな本当にリズム感が凄いと思います。こういう演奏を見ると、やっぱり日本人はもっと基本的なリズム感を磨くべきだと思っちゃいますね。
■ Review-1 ■
レビュー:ドミニク・ミラーは5作目のソロ作品として、表現力と技術力の両方を最高レベルで発揮できる正真正銘のドリーム・チームを起用し、10曲のオリジナル・トラックを貴重で魅惑的な40分に詰め込んだ。タイトルの『5th House』は、占星術の第5ハウスを意味し、通常、快楽のハウスと定義されている。そして実際、ミラーのアルバムでは、すべてが愛と情熱の概念を指しているようだ。メロディーはしばしば洗練された雰囲気の上に築かれ、穏やかな魂と妖艶な形式美のアイデアに近い。このモードは、オープニングの「Angel」と続く「Embrance」で強調され、この2つの瞬間では、ソフトな態度、急ぐことなく軽やかな進行、極めて繊細な動きが支配的な特徴となっている。しかし、『5th House』はそれ以外のことも心得ている。「Waves」を彩る、どことなくボッサ的なアティチュード、「Tokyo」のようなトラックに浸透しているフュージョン、そして「Yes」の強い個性がそれを証明している。「Catalan」や最後を締めくくる「Gate 23」に見られるように、表現の核となる部分ではリラックスした雰囲気がしっかりと残っているにもかかわらず、これらすべてがうまく交互に演奏されている。このアルバムは、ミラーが2011年にスティングのツアーに参加している間に録音されたもので、あまり計画を練ることなく、前向きな心境と素晴らしい仲間との絆を反映させたいという思いから自然発生的に制作された。【All About Jazz/Italy Staff 】
■ Review-2 ■
レビュー:ミラーは、スティングのバンドへの貢献で最も有名であり、また当然である。彼のナイロン弦のスタイルはすぐにそれとわかり、彼の上司の特徴的なサウンドとなっている。そのため、彼のソロ作品にそれが大きくフィーチャーされているのは驚くにはあたらない。ミラーは、ブルージーなロック調の「If Only」から、太く歪んだパワー・コードが印象的なヘヴィな「Yes」まで、いつも以上に幅広い色彩を表現しているため、『5th House』は嬉しい驚きとなっている。しかし、もちろんエレガントなラインや叙情的なグルーヴもある。オープニングの「Angel」は天国のような静けさで、「Gate 23」ではアコースティックが前面に出ている。しかし、耳に残るのはダークでムーディーな「Catalan」の雰囲気だ。優れたサイドマンのためのスペースもある。フィリップ・カテリーンのようなフィーリングを持つ「Dead Head」では、ヴィニー・カリウタの落ち着きのないドラムが波立ち、クラッシュする一方で、ジョンソンはいつもの基礎を築く(そして時には基礎を揺るがす)ベーストーンを与えている。静かな満足感を与えてくれるが、時には嬉々として弾けまくる。【Jazzwise/Andy Robson】