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Chat between Dominic and Andy Edwards Part 3

Chat between Dominic and Andy Edwards: Part 3

ドミニクが、2025年9月26日にスティング3.0のツアーで台湾に滞在中に音楽系YouTuber のアンディ・エドワーズ(Andy Edwards)と行った対談の全文書き起こし翻訳のPart-3です。これで終わりです。会話の内容は全く変えていませんが、前後のつながりや、内容を補足するために言葉を加えたり、意訳してありますのでご了承ください。Part-3は約48分くらいからの内容になります。(Part-1はこちらPart-2はこちら。)ここで彼らが話しているのはまず、天才ドラマー、ヴィニー・カリウタの話(面白いです)。そして最後は、「音楽家として音楽とどう向き合い、どう生きるべきか」という極めて根本的で深遠な話題へと移ります。音楽一家に生まれ育った私にとって、なかなかこれは非常に共感できる内容でした。さらにその会話の中で、ドミニクは意外な悩み? というか本音を打ち明けています。
The chat between Dominic and the musician and YouTuber Andy Edwards during the Sting 3.0 tour in Taiwan on 26 Sep. 2025 was truly fascinating. For Japanese fans, I have transcribed and translated the dialogue, this is the Part 3(Last). Part 3 covers the content from approximately 48 to the end.(Part 1:here, Part 2: here.)
At first, they chatted about the great genius drummer, Vinnie Colaiuta
's story (it's quite interesting). And finally, the chat turns to something quite fundamental and profound, along the lines of “how one ought to face and live with music as a musician.” As I've been involved in since I was born into a musical family, I find it highly relatable. Moreover, within that conversation, Dominic shared his unexpected worries? or rather, true feelings.
DOMINIC MILLER ON TOUR WITH STING FROM THE FAR EAST!

ヴィニー・カリウタ登場!

Dominic(以下DM):まあ、時間はあるよ。

A:スティングって、本当に信じられないほど素晴らしいドラマーたちとやってきましたよね。キース・カーロックオマー・ハキムジョシュ・フリース、どれも素晴らしいドラマーです。もちろんマヌ・カチェも。(筆者注:マヌに関する記事はこちら。)でも、ヴィニーはまるで独自の領域を占めていたように見えたんです。というのも、スティングは同時にヴィニーを「作り上げた」部分もありますよね? セッションの仕事という感じではなく、ヴィニーの知名度も上がった。だって、彼はとんでもないプレイをしていたから。

A:まあ、基本的には「現在最高のドラマー」ですよね。当時の僕はそんなこと全然わかってなかったけど。

A:まるでフランケンシュタインと『マイアミ・バイス』のキャラクターを混ぜたみたいな感じですね。
A:そのままにしておけばよかったのに!その姿のままにしておくべきだったですよ!

A:いや、僕は大ファンなんですよ。そして言えるのは、そうだな、88年あたりの彼はちょっとマージョリー・プループス(筆者注:イギリスの女性ジャーナリスト。英:Daily Mirror紙でコラムを書いていた)に似てたんですよ。マージョリー・プループス覚えてます? ここに写真でも出そうかな。ああいう感じだったんです。まあ、気をつけて話さないと、もしかしたら観るかもしれないから(笑)僕のユーモアの感じはわかってると思うけど。とにかく気をつけますよ。今、もう言いかけてましたよね? マージョリー・プループスの話に飛びかけてました。あれがわかるのは、ある年齢以上のイギリス人だけですよ。あなたが笑ってるのは、わかってるからですよ。他の人は「何の話だ?」って感じでしょうね。とにかく言いたいのは、その後突然彼が黒い服を着るようになって、すごくスマートでクールに見えるようになったということ。そしてあなたたちが彼を「作った」んです。だって服を与えてあげたんだから、彼はあなたに感謝すべきですよ。
A:ヴィニーの才能って、本当に理解のレベルを超えてるものがありますよね。というのも、彼は見せびらかそうとしているわけじゃないと思うんですよ。
A:というのも、彼はやることにまったく制約がないと思うからです。(どんな事でもできる、という事)だからこそ、フランク・ザッパのバンドでの有名な逸話がたくさんあるわけですよ。他のドラマーが苦戦しているような超難曲を演奏しながら、彼は途中でランチを食べ始めたりする。彼にとっては、譜面を見れば音楽が自然に体から出てくるんです。テクニックの問題じゃない。もちろん彼のテクニックはとんでもないレベルですけど、ポイントはテクニックそのものではなく、それを「正しい時に、正しい表現をするために使っている」ということなんです。そして彼は一瞬で切り替わる。反応速度が異常に速いんですよ。
(57:43)
A:ヴィニーって、一体どれだけドラムのTシャツをもらってきたんでしょうね、想像できます?
A:絶対、部屋いっぱいにあるはずですよ。
A:それに彼の思考プロセスや、話しているのを聞くと、既存のルートに沿って進むんじゃなくて、いつもあちこちに飛び回るんですよ。それが僕が彼の演奏で大好きなところなんです。すごく奇妙で、すべてが本当に奇妙なのに、ちゃんと成立してしまう。
みんなポリリズムがどうとか言いますけど・・・僕もそのポリリズム自体は叩けます。でもそれを「機能させること」が難しいんです。誰もそれをやらないから。彼はスティングのバンドでそれをやって、誰も気づかなかった。「ほら、今の11拍子だ」なんて誰も言わなかった。彼があまりに自然に演奏するから気づかれなかったんです。
DM:そう、4拍子に聞こえるんだよね。そしてサウンドもそう。彼がドラムでもシンバルでも叩くたびに——その一打の中に、スティックの先から振り下ろすところまで、膨大な経験が詰まっているんだ。その一打には威厳と知恵が込められているようなんだ。
A:僕は人生のすべてをその研究に費やしてきました。
DM:そして、優雅さというか、ああいうすべてのことがあるんだよ。もう本当にクレイジーなんだ。ああいう技術のあるドラマーはたくさんいるし、音にものすごくこだわるミュージシャンも大勢いる。だから、もちろん僕は彼から大きな影響を受けてきた。僕は思ったんだ──ああいうふうになりたい、彼のやっていることをやりたいって。なあ、どうやってああなるんだ?ってね。すると彼はいつも僕にこう言うんだ。「ただ音について考えろ」って。だから彼が言うことなら何でも僕はやるよ。そんなふうに僕は素晴らしい師匠たちに恵まれてきたんだ。それから、ケニー・カークランドに戻ると、ケニーのボイシングやブランフォード、そういったすべての人たち──こんな猛者たちとつるむことができて、僕は本当に運がよかったんだ。言うまでもなく、一緒に過ごして多くを学ばせてくれた他の大物アーティストたちもね。

ミュージシャンとしてのアイデンティティを持つには

(1:01:30)
DM:そして今、僕はクリス(・マース)のような若いドラマーと一緒に演奏している。僕は彼からいろいろ学んでいるんだ。彼があの人たちより知名度が低かったり経験が浅かったりするからじゃない。彼から学ぶのは、彼にあって、他の今までのドラマーにはないアプローチがあるからだ。彼がこのバンドにもたらしているものは、以前のメンバーたちがしてきたことより多くも少なくもない。彼は彼のやり方でそれをやっていて、そして僕たちはそのやり方が気に入っているんだ。
A:というか、もしこのトリオ(スティング3.0)でヴィニーがドラムを叩いていたら、彼は抑え込まれてしまったか、あるいは自由を与えられすぎてしまったと思うんだ。対してクリスは、はるかによく折り合いをつけながら演奏していた。というのも、スティングは──、単にヴィニーが自然そのもののような圧倒的存在だからこそ、彼に好きなようにやらせていたと私はずっと感じていたからなんだ。実際、このスティング3.0というパワー・トリオの中では、ミュージシャンにとっていちばん難しいことは「自分のやりたいことをやらないこと」なんだ。つまり、ヴィニーは何でもできるから、彼がどうやるかを見極める必要がある。しかしクリスは、より現代的なポップやロックのドラミングの感性を持ち込みつつ、必要なときにはヴィニー的なフレーズもちゃんとやる。そのすべてを両立させているんだ。
DM:しかし、楽器奏者として、ミュージシャンとして大事なのは、あまりにも個性的になろうとしないことだと思う。学生たちともこの話をしたことがあるんだけど、よく受ける質問のひとつに、「どうやって自分だけのアイデンティティを持つミュージシャンになれるんですか?」というのがある。
私は、自分のアイデンティティを探そうとすること自体が間違いだと思っている。ただ演奏すればいい。演奏していれば、アイデンティティのほうから自分にやって来る。いろんなプレイヤーの演奏を聴き、学び、ときには真似までして演奏し続けることで、最終的には共通項──、自分自身の「プレイヤーとしてのDNA」が形づくられる。
だからただ演奏し続ければいい。オリジナルになろうとするな。ギタリストにはありがちなことだけど、タッピングだとかいろんなテクニックでオリジナルになろうとする。でも、今ではみんなそれをやっている。だからもう退屈だし、面白くもない。そしてジェフ・ベックは良い例だ。私はよく彼を例に挙げるんだけど、彼が朝起きて「ジェフ・ベックみたいに聴こえるようにしよう」なんて思っていたとはとても思えない。ただ、彼はああいう音になるんだ、というだけのことだか
ら・・・。
A:多分・・・私の娘は素晴らしい歌手で、録音に慣れさせるために彼女と一緒にたくさんレコーディングをしているんだけど、あるとき突然、ものすごい自己嫌悪に陥ったんだ。彼女が歌ったテイクは驚くほどいいのに、彼女は録音を聴くと「自分は最悪だ、みんなを失望させた。」と思い込んでしまう。まだ16歳だから、そういう段階にぶつかったんだと思う。でも、自分の演奏に対して抱くその自己嫌悪こそが、僕らの個性なんだ。そしてそれを受け入れることを学ぶ、そのプロセスなんだよ。自分が誰であるかを受け入れるということは、自分の演奏の中で気に入らない部分も受け入れるということだ。「まあ、これが自分なんだ。どうしようもない」と。そして、演奏者としてときどきその境地にたどり着けると、ふっと強さを感じるんだ。「みんな僕を受け入れるしかない。これが僕のやることなんだから。これが僕のやることなんだ」と思える。
それを達成するのはミュージシャンにとって本当に難しいことだと思う。まして君がいるようなレベルでは、とくにね。だってそういう疑念は決して消えないじゃないですか。むしろ、自分のプレイのレベルを知っていればこそ、ギタリストとしてそういう思いは大きくなるに違いないだろう。
DM:ああ神様、そうだよ。僕はたくさんの疑念、自己不信ってやつを抱えてるよ。だってアンディ、君も想像できるだろうけど、この35年間ずっとそうだったんだから。何百人ものギタリストが俺を見て「あの仕事なら俺の方が上手くやれる。」と思ってきたんだ。わかるんだよ、感じ取れるんだ。ギグでロックの曲を弾いているときなんか、観客の中にギタリストみたいな奴がいて、「えー?えー?」とか言ってるのがわかるんだ。だから気後れして気まずくなるんだよ。

A:でもさ、スティングは欲しい人を誰でも呼べるんだ。誰でも呼べるんだよ、そうだろ?誰でも呼べる。(だけどそうしないよね?)
DM:でも彼が求めてるのは、何でも少しづできて、しかもジョークが通じる人間なんだよ。
A:でも、君は他のプレイヤーが持っていないスキルを蓄えてきたとも思うんだ。君はあのバンドで本当に特別なことをやっているよ。そして皆が言うんだ。僕が「ドミニク・ミラーと友達なんだ、彼は僕のチャンネルを観てくれてるんだよ」と言うと、みんなこう言うんだ。「ああ、彼はすごいプレイヤーだ」って。みんなそう言う。だって君を見たことがあるから。君は大きな舞台を経験してきた。彼らは君を見て、君が何をやっているか理解しているんだ。
(1:06:17)
DM
:まあ、それはね、本当に嬉しいよ。つまり、俺はベストを尽くしてるけど、今でも19歳や20歳の頃と何も変わってない気がするんだ。まだ模索中なんだよ。まだ答えは見つかってないんだ。今も学び続けているんだ。まだそこに到達したとは思えないんだ。でも、それがミュージシャンであることの素晴らしいところさ。常に成長し続けられるってことだよ。常に成長の余地はある。ハービー・ハンコックやウェイン・ショーター、チック・コリア、ジェフ・ベック、ジョン・マクラフリンみたいな巨匠たちを見ればわかるだろう。これらの人たち、特にジャズミュージシャンは忍者みたいな存在で、彼らは最期まで音楽家としての能力を高め続け、頂点を目指していた。ハービーだって今も成長を続けているしね。
A:でもどうする?君は望まないだろ?誰がそんな風に思いたがるんだ?「ああ、先週の日曜に全てを達成した。ついに到達した。やり遂げた。」なんてさ。到達できて本当に良かった、そんな境地に達したら、その瞬間に喉でも切ってしまうかもしれないよ?
DM:まさにその通りだよ。同じ理屈で、もっとロックンロール的な意味で言えば、だからこそ俺はミック・ジャガーやキース・リチャーズ、ポール・マッカートニーを心底尊敬しているんだ。今でもロック・ショーをやり続けて観客を楽しませている連中さ。だって、彼らはもう80代なんだぜ。まさかそんなこと可能だなんて、誰が想像しただろう?僕も昔ストーンズは50歳で引退すべきだと思ってたのを思い出したよ。
A:そして、まあ、最終的に彼らがみんな死んでしまったら、誰も残っていない頃には本当にすごいバンドになるよ。だって彼らはいつも信じられないようなプレイヤーばかり引き入れるからね。ほら、絶滅危惧種みたいなベーシストまで抱えてるんだ。ダリル(・ジョーンズ)なんて、ずっとそこに座っていると思うよ・・・。
(1:08:10)
DM:ダリルはそうだね。彼はもう長年ギグをやってきた。マイルスとも共演してたこともある。だから奴らは物事を良く分かってるんだ。それからスティーブ・ジョーダンもさ。(筆者注:私の大好きなドラマーの1人。現在はチャーリー・ワッツの亡き後、ドラマーとしてローリング・ストーンズのツアーに参加している。プロデューサーとしても大変優秀な人である。)
A:でもそれは同時ではなかった。だってエラは最後まで自分の偉大さに気づかなかったから。彼女は自分がどれほど偉大だったか理解できなかったんだ。

DM:まあ、彼女の素晴らしさは誰もが知ってるけど、彼女の言ってることは本当なんだ。つまり、自分自身を音楽に持ち込んだ瞬間にエゴが入り込んで、結局全部台無しになっちゃうんだよ、本当に。つまり、成功したキャリアを持つことも、いい人生を送ることも、楽しく過ごして大金を稼ぐこともできるけれど、いちばん優れたポップスターやミュージシャン、楽器奏者というのは、君が今言ったこと──エラ・フィッツジェラルドが言ったこと──を正確に理解している人たちなんだ。大事なのは音楽なんだよ。自分がどうとかじゃなくて、ただ音楽がこの世界に現れるのを手助けしているだけなんだ、僕らはその真髄に入るだけなんだよ
(1:09:58)
A:ああ。みんなに見せるために僕らは本質を取り出すんだ。そして敬意を込めて元に戻す。その考えにちょっと鳥肌が立ったよ、だってすごく単純なことだからね。僕たちは素敵な車を持っていて、それを運転して出かけるようなもんだ。僕らはただ車を運転しているだけで、肝心な本質は車そのものなんだ。そしてそれが「曲」なんだ。そう、それは体験を与えてくれる。それだけのことさ。素晴らしい体験をくれるんだ。スティングのコンサートの時、ステージ脇に座って君の演奏を見てたこと、そして僕を呼んでくれた君の優しさを、僕はいつまでも忘れないよ。そして、あの場所に快適な椅子を何脚か用意してくれて、水も用意してくれたクルーの皆さんにも感謝してる。結局のところ、ただただ特別な体験だったんだ。本当に素晴らしかったのは、あんなに多くの人々に向けて、あのような素晴らしい曲を届けている人物に、間近で立ち会えたことだ。そして、皆がそれを愛し、その愛を感じられたことさ。

でもドミニク、このインタビューは本当に良かったと思うよ。だって、君が今も僕らとと同じように、自己不信を抱えながら「果たして・・・?」と悩むただの一人のミュージシャンだということがみんなに伝わったからね。その姿を皆見ているんだ。もし君にそれがなかったら、おそらく驕り高ぶる者は必ず落ちぶれるっていう結末が待っているだろう。そう、最近やっと僕はブレイキング・バッドを見始めたんだ。今まで見たことなかったけど、本当にすごい。あの男の驕りと、それが彼をどこへ導くかというアイデアがね。
DM:最高の番組だよ。ブレイキング・バッドで面白い話があるんだ。とにかくスティングってやつは絶対に何も見ないだろ?本ばかり読んでテレビなんて見ないんだ。そんなにクールな奴がNetflixなんか見るわけないだろ?奥さんと一緒にテレビ見てるなんてありえないだろ。彼は・・・。
A:タントラセックスできるならな。俺がタントラセックスできてたら、『ブレイキング・バッド』なんか見てないぜ。(笑)(筆者注:この辺のスティング夫妻の話から来ています。)
DM:彼が最近になって俺を追いかけるようになって、こう言うんだ。「おいドム、テレビでやってるこれ絶対見るべきだぜ。マジで超最高なんだ。最先端って感じだ。タイトルは『ブレイキング・バッド』って言うんだ!」
A:俺とスティング、二人とも世間の流れに疎すぎて、今になってやっと観たんだぜ!
DM:それで僕は「えっ、冗談だろ?」って思ったんだけど、彼は本気だった。まず第一に、彼はこれが本当に素晴らしいと認めたんだ。「いやマジで、ドム。これは本当に最先端だ。感動したよ。たくさん観たんだけど、延々と続くんだ。終わらないんだよ」って。それで僕は「わあ、すごい!」って。本当に衝撃で、すごく感動したんだ。だって、あれほどの才能を持ったアーティストであり作家であり思想家が、過去20年で最も重要なテレビ番組の一つを見逃していたなんて、信じられないだろ?
A:でもね、俺が興味深かったのはこの主人公の男で、彼には別の仕事があって、家族はそれを理解できず、理解しようともしない。だから彼はそれを隠さなきゃいけない。それで彼は金を稼ぐためにその仕事をするために家を出て、それから家族のもとに戻らなきゃいけなくて、つまり二重生活を送っているわけだ。
そして、何度も観ているうちに気づいたんだ。次に起きた時に「これは自分だ」って思うだろうって気づいた。でも、音楽を作るという事も同じことだ。家族がいて、そして音楽がある。まるでそれを隠さなきゃいけないみたいに、どこかへ行ってやらなきゃいけないんだ。そして、私はそこに非常に深い何かを見出した。しかし、彼は自分のプライドによって破滅する。
謙虚さこそが偉大なプレイヤーの資質だと思う。そう思う。だから僕は娘にもこれを学んでほしい。だって彼女は信じられないほど素晴らしい歌手だからね。本当にすごいんだ。
(1:13:50)
DM:ぜひチェックしてみるよ。
A:いくつか送りますね。彼女は本当にとんでもない子なんだ。実は、彼女が小さい頃、私は車の中で、ティナ・ターナーやチャカ・カーン、パティ・ラベル、アレサ・フランクリン、マへリア・ジャクソンなどを流していたんだ。そして、「その声を聞いて、グレース。その声を聞いて」と繰り返し言っていました。そして、「その声は心に刺さる。」と言ったんだ。彼女は、「どういう意味、パパ?」と言いました。私は、「彼女が口を開けば、その声が心に刺さるんだ。その刺さる声を聞いて、ビリー・ホリデイの声を聞いて。」と言った。そして彼女は今では、私よりもそのことをよく理解しています。
DM:そういうことをやってみたのは本当にいい事だね。
A:ああ、彼女には、僕がたくさんの曲を聴かせていたことを覚えてる。「チャカ・カーンを聴いたことはある?」と尋ねると、彼女は「いいえ」と答えた。そこで、チャカ・カーンの曲を聴かせると、彼女は「車を停めて」と言ったのです。彼女は当時11歳くらいだった。彼女は「パパ、車を停めて」と言ったのです。そして、僕は彼女をその場に座らせました。そして彼女が6、7歳の頃、彼女は本当に歌い始めたんだ。そして僕がアレサ・フランクリンの曲を聴かせたとき、彼女が「パパ、これってどういう意味なの?」と言ったのを覚えているよ。
DM:それはどういう意味が?
A:彼女はそれをとても素晴らしいと思っていたからです。「アレサ・フランクリンの歌を聴く意味があるの?誰も(彼女以外に)達成できないことを聞く意味は?これを聴く意味は何なの、パパ。こんなことは不可能だ、誰もこんな事はできない。」と。彼女は最初から彼女の凄さを認識していた。彼女は歌手たちに敏感で、ただ録音するだけだった。
DM:それはすごい。本当に素晴らしい。
A:彼女は今、それほど歌が上手くない歌手たちを挙げるんだよね。モリッシーとかそういう人についてね。チャカ・カーンのように確立された存在じゃない人たちだ。それで彼女は言うんだ。「彼はこういう点で本当に素晴らしい」って。そして彼女は、彼らの持つ「物語を紡ぐ能力」という特質を認めているんだ。それが今でも僕の心に響いてるんだ。彼女は言うんだ、「パパ、歌詞を感じなきゃいけないの。歌詞を心から歌わなきゃ。生きているように歌わなきゃ」って言うんだ。それで思ったよ、なんてこった、彼女にはそれがわかるんだ、それが俺たちの強さなんだって。どうしてわかるのかはわからないけど。彼女の祖父はデッカ・レコードと契約した歌手だったんだ。妻の父親も歌手だったんだよ。
(1:15:53)
DM:まあ、それは遺伝的なものだろうね。

A:ああ、そうかもな。そうかもしれないね。ああ。君は子供が沢山いるけど音楽やってる子はたくさんいるの?

DM:ああ、何人かいるよ。みんなすごく才能豊かだよ。まあ、これは古い面白い世界なんだ。ミスティという娘は15歳でソニーレコードと契約したんだ。でも彼女は音楽業界の本質を理解してなかったし、業界自体も好きじゃなかった。でも、彼女は注目を浴びていた。それでアルバムも作ったりして、注目も浴びたんだけど、注目には期待が伴うよね。そして彼女はその期待に圧倒されて押しつぶされちゃったんだよ。
A:それは辛いな。
DM:何を願うのか、願うものには気をつけろよ。言いたい事はわかるだろ?成功って何なのか、みんなわかってないんだよ。だって成功を測る方法はたくさんあるんだから。契約を勝ち取ることか?フォロワーが多いのか?ああ、確かに今の価値基準はフォロワー数やクリック数で、それが通貨みたいなものだけど、でも僕たちが目指すべき別の成功の形があると思う。それはもっと、自分自身の真実や道を見つけることに関係しているんだ。
そしてそれは本物へと変わる。その想いに忠実であり続ければ、それは成功へと変わるんだ。私はそれを疑わない。それが私の経験だ。なぜなら私は、より優れたミュージシャンになるという本当の夢を決して諦めなかったからだ。そしてそれは実を結ぶものとなった。でも僕は「成功しなきゃ」「これを成し遂げなきゃ」といった野心的な考えで動いていたわけじゃない。
(1:17:39)
A:うん。それは大事なことだと思うよ。つまり、20代の頃はそういう野心が必要だと思うんだ。僕は一番になりたいってね。でも、ある時点でそれは通用しなくなるんだよ。うちのもう一人の娘がポール・ウェラーに夢中なんだ。この前、突然私に近づいてきて「パパ、練習したら?」って言うんだ。僕が「なんで?」って聞くと、彼女は「ドラムが上手くなるから」って言うんだよ。それで「なんで?」って聞いたら、彼女は「ポール・ウェラーとの仕事ができるかもしれないよ」って言うんだ。だから僕は「こんな状況でも、その仕事はできるくらいの実力はあるよ」って言ったんだ。そしたら彼女が「じゃあ、なぜやらないの?」って聞くから、「やりたくないから、やらない」って答えたんだ。「ポール・ウェラーが直接電話してきても、僕はやらないよ」って言ったんだ。彼女は「なぜ?」と尋ねた。僕は「今の自分が完全に幸せだから。今この瞬間が幸せなんだ」と答えたんだよ。つまり、自分がやっていることを純粋に楽しむまでには、本当に長いそれなりの時間がかかったんだ。演奏する音楽を楽しみ、共演するミュージシャンを楽しむ。愛を届けるよう心がけている。それが本当に大事だと思うんだ。音楽を通して愛を届けること。プレイヤーとしてそれができればね。だって最高のプレイヤーは相手を助ける存在でもあるだろう?それが肝心なんだよ。


DM:もちろんだ。
A:バンドメンバーの彼らは君を排除しようとしているわけじゃない。助けようとしているんだ。そうだろ?バンドってのは、例えば三、四人で互いに支え合おうとするものでしょ?
(1:18:55)
DM:まあ、理想の世界ならね。残念ながら、バンドを運営するのは非常に難しいんだ。だって、バンドに所属すること自体が多くの人間にとって大変なことだからね。だからほとんどのバンドは8年か10年も持たないんだよ。そして、長く続くバンドってのは、金銭的に儲かるから続くんだよ。メタリカやザ・フーを見ても、聞いた話ではメンバー同士が互いに我慢できないことも多いんだ。でもビジネスとしては巨大だからね。ポリスも良い例だよ。バンドって失敗した民主主義みたいなものだって言う人もいる。僕はその表現はなかなか気に入ってるよ。確かに面白い表現だよ。だって民主主義のはずなのに、いつも誰かが他より少し力を持ってて、それでうまくいくとは限らないんだ。
A:ああ、そうだな、君と話すのは本当に楽しいよ。だって8時間くらい話しても尽きないくらい面白い話題があるし、君の専門分野も広すぎるから——ジャズの話も音楽の話もバンドの力学の話もできるしね。もう定期的にここに戻ってくるしかないな。
DM:了解、相棒。
A:あの時招待してくれて本当にありがとう。信じられない最高の経験だったよ。
DM:ああ、いつでもいいぜ。どこかで俺たちの演奏を見かけたら、声をかけてくれ。招待するから。
A:いいね。最高だ。さて、そろそろ切り上げるよ。ありがとう。ありがとう。次ドミニクを呼んだ時は、君たち全員が見られるようにするからね。ドミニクに聞きたいことがあれば、ここにコメントしてくれ。コメント欄に書いておいてくれ。全部紙に書き留めておくよ。集中して視聴者の質問も取り上げるよ。それでどうだ?
DM:もちろんさ、相棒。じゃあみんな、バイバイ

さあ、Part-3の内容はいかがでしたでしょうか?前半のヴィニーの話はとても面白いものでしたね。そして後半の部分は「ミュージシャンとしてのアイデンティティをどのように確立するのか」、「ミュージシャンとして何を目的にして生きるのか」、「ミュージシャンとして音楽にどのように向き合うべきか」というような、本質にかかわる非常に深い話がありました。正直なところ、英語が得意ではない私にとって、ネイティブスピーカーによるこの長大な会話を正確に日本語に翻訳するのは簡単な作業ではありませんでした。しかし、この内容は音楽に携わる方々にぜひ読んでいただきたいという思いから、この作業に取り組みました。ぜひ読んでいただき、これが皆様の音楽への向き合い方への新しいヒントになればと心から願っています。