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Ad Hoc

Ad Hoc

DOMINIC MILLER - Exiting Purgatory
Dominic Miller - Shavasana

■ Musicians ■

Dominic Miller(ドミニク・ミラー) :G,Ba
■ Dylan Fowler(ディラン・ファウラー):Lap Steel Guitar
■ Rhani Krija (ラーニ・クリジャ):Per
■ Eda Zari(エダ・ザリ):Voice
■ Lars Danielsson(ラース・ダニエルソン):Ba,Cello(Track:3)
■ Sebastian Studnitzky(セバスチャン・スタッドニツキー):Trumpet, Piano, Harmonium
■ Peter Tickell (ピーター・ティッケル):Violin

・Composed By, Arranged By, Produced By - Dominic Miller
・Recorded at - Maarweg Studios2(Cologne)
・Recorded, Mixed By – Wolfgang Stach, Jean Paul Bondyfalat (Tracks:10.Album B6)

■ Songs ■

01. Exiting Purgatory(4:26)
02. Scirocco (2:44)
03. Eva (4:05)
04. Shavasana (4:50)
05. Hotel Pink (3:47)
06. World Party (4:05)
07. Tisane (2:59)
08. St Victoire (3:48)
09. Moroccan Roll (3:11)
10. Doolin (3:57)

All Songs:by Dominic MIller

■ Songs (Album) ■

A1. Exiting Purgatory(4:26)
A2. Scirocco (2:44)
A3. Eva (4:05)
A4. Shavasana (4:50)
A5. Hotel Pink (3:47)
A6. Evelyn (3:33)-(Album Bonus Track)
B1. World Party (4:05)
B2. Tisane (2:59)
B3. St Victoire (3:48)
B4. Moroccan Roll (3:11)
B5. Doolin (3:57)
B6. Second Thought (4:00)-(Album Bonus Track)

All Songs:by Dominic MIller

■ Release ■

■ Release Date:2.14.2014
■ Rabel:Q-Rious Music(Ger)
■ Number:QRM 127-2
■ CD,Album,Digipack
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■ Release Date:2.14.2014
■ Rabel:Q-Rious Music(Ger)
■ Number:QRM 128-1
■ Album,LP,180g

Commentary

First Impressions

2014年に発売されたドミニクの8枚目のソロアルバムです。なんだかデモテープも作らないでレコーディングに臨んだ作品みたいですよ?

私はドミニクのアルバムは全部好きですが、この『Ad Hoc』という作品は中でも結構好きな作品です。なぜかと言うと、まず一曲目のExiting Purgatory」(煉獄を出る)を聴いた時に、「あ、なんかドミニクは色々吹っ切れたのかしら?」と思ったからです。
これは本当に個人的な感想ですが、なんとなく『Forth Wall』の頃から『November』のあたりまで、ドミニクは少し何かを掴もうと色々試行錯誤を繰り返していた時期のように感じていました。ドミニクは以前から、ファースト・アルバム『First Touch』と同じような作品を期待される事への抵抗を示していました。と同時に、ほとんど「自動的に」自然に曲を書けたあの頃の感覚を取り戻したいという願望も口にしていました。しかし私は『5th House』あたりから少し「吹っ切れた感」を感じ、この『Ad Hoc』では色々と気負わずにやっていこう、みたいな感じをアルバム全体の雰囲気から感じました。

私がこのアルバム全体を通して聴き終えた時、一種のロードムービーを見終わったような印象を受けました。どの曲も曲の後ろに色んな場所の景色が見えるような感じがしました。だからドミニクと一緒に世界各地に旅行に行ったような感覚になったアルバムです。今までもドミニクの音楽にはその背後の「風景」を感じる事は沢山ありましたが、アルバム全体を通してそういう感覚になったのはこの『Ad Hoc』が初めてかもしれません。結構バラエティに富んでて、今までの彼の曲調とは趣が異なる作品が多い印象です。

アルバムタイトルとコンセプト

アルバムタイトル『Ad Hoc』の意味についてです。

「ad hoc」とは、特定の目的や状況に応じて臨時に設けられた、または行われることを意味するラテン語由来の英語表現である。 一般的には、計画や準備がなく、その場限りの対応や取り組みを指す。 ビジネスや技術分野でよく用いられる言葉であり、特定の問題やニーズに対処するために、一時的な対策や仕組みが構築されることを示します。

つまり、ドミニクがこの作品で狙ったことは「音楽の創造プロセスにおいてその場の自発性や自由さを大事にしたい」という事のようです。
だから私がこの作品から感じた「吹っ切れた感」や全体的な流動的で自由な「Take it easy」という雰囲気は、最初にあまり準備をせずに、その場で臨機応変に自由に音楽にアプローチをしていく「Adhocness(アドホックさ)」の感じだったのかな、と思います。

ドミニクはこんな事を言っています。
「経験上、アイデアやコンセプトを最初に思いついたときが、最高のサウンドになることを学んだ。それはファーストキスに似ている。少しぎこちないかもしれないが、本当に忘れられない、正直なものだ。このアルバムでは、まさにその感覚をとらえたかったので、わざとデモは作らなかった。ミュージシャンたちとスタジオに着くまで、どんなサウンドになるのかまったく想像がつかなかった。お互いのことをよく知っているにもかかわらず、初デートのように緊張して、弱々しくさえ感じてほしかったんだ。」

この、「経験上、アイデアやコンセプトを最初に思いついたときが、最高のサウンドになることを学んだ。」というのは私はすごく分かりますね。私もこれは何度も経験しています。仕事で設計する時には沢山のプランを作りますが、結局見返すと「最初のプランが一番良い」となる事は結構あったりするんですよね・・・。

アルバム全体についてはこのように言っています。
「テーマとなる曲があった訳ではないが、コンセプト・アルバムを作りたかったんだ。ピンク・フロイドの『ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン』でハードルが高くなったけど、マイク・オールドフィールドの『チューブラー・ベルズ』以来、ずっとそれを目指してきたんだ。それが好きだと言うのは流行らないのは分かっているけど、僕は好きなんだ。 私はコンセプト アルバムだけでなく、コンセプトが大好きですが、必ずしもテーマがあるわけではなく、ある曲とある曲の中に、曲のちょっとしたヒントがあるようなものを作りたかったんだ。無意識のうちに『あ、これ聴いたことある』って思うかもしれない。」

また、今回選んだミュージシャンについては、このように言っています。
「アルバム制作中に予想外のことがたくさん起こったからね。 ミュージシャンを選んだのには理由があって、彼らは自分の頭で考えて反応できるタイプのミュージシャンだから、僕はゆるやかな構造とメロディーを持っていたけど、それをどうやってやるかは僕には分からなかったんだ。 デモなどは一切しませんでした。 これは意図的な練習でした。 昔ながらのやり方で、キッチンで紙とギターを使って書きました。 デモを作らないのはかなりの修行だった。」
「特別な音楽的直感がある、経験を積んでいて、なおかつあらゆるリスクを伴う「現場」に行くことを恐れない人が必要なんだ。」とも言っています。

更にこんな事も言っています。前作『5th House』ではL.A.のセッションプレイヤー達の個性を出したかった、と言っていますが、今回は逆のようです。
「このアルバムでは個性を求めていませんでした。もしあなたの演奏が認められたら、私は自分の仕事をしていないことになる。誰にも、自分自身にも注目を集めたくなかった。 今回はもっとヨーロッパの雰囲気を出したかったので、ケルンを選び、ヨーロッパのミュージシャンを選びました。」

曲について

曲の制作過程についてはこのように話しています。
「過去のアルバムと同様、すべての曲はかなり早く書かれている。時間がかかるのはアレンジだ。あるキーから次のキーへ、そしてまた “ホーム “へとうまく戻るにはどうしたらいいかといった問題を解決するのが好きなんだ。インスピレーションというのは、もっと大きな全体像への手がかりのようなものなんだ。私の仕事は、クロスワード パズルの 1 つの解決策を与えられたかのように、それを尊重し、解読して、完成させることです。」

ドミニクによる曲の詳しい解説は、下の「Dominic’s Comments」欄をご覧ください。少し私の曲の印象と補足解説です。

まず1曲目のExiting Purgatory」(煉獄を出る)。私はこれを聴いた時はとても嬉しかったですね。彼の音楽性の幅広さを改めて感じたし、色んな事を気にせずに、本当に思い切ってやりたい事や言いたいことを叫んでる感じがしたんです。ドミニクが大好きな「リスナーを驚かせる遊び心の仕掛け」が大成功している曲です。こんな世界は今までのドミニクの音楽には無かったし、大体ドミニクに対して『Shape of My Heart』のイメージしか無いような人がこれを聴いたら「嘘?これ同じ人なの!?」って思うんじゃないでしょうか?だから私はこの曲を聞くと、いつも彼の叫びにも似たエレキの咆哮を聴きながら、「ドミニクやれやれー!もっと思い切ってやってしまえ!」って思ってしまいます(笑)
これはとにかく構成とアイデアが素晴らしい。延々続く変拍子のリズムと、不安を煽る繰り返されるドミニクのギターのリフ。そこにマントラのように重なるエズラ・ザリの神々しい声。そして突然のエレキギターの咆哮。何とも言えない、不安で怖い陰鬱な世界です。しかしそれが最後の最後、ドミニクの美しいギターの音色で出口を見つけて救われる。本当にお見事です!
ちなみにこの「Exiting Purgatory」というタイトルですが、
「何年か前にニューヨークで買った絵のタイトルで、地獄にいること、不確かな場所にいることを表しているんだ。僕にとっての出口とは、そこから抜け出す方法を見つけることなんだ。」という事です。

「Exiting Purgatory」からそのまま続く「Scirocco」。ちょっと何を題材にしている曲かは分かりません。しかしこの2曲は今もライブではセットで連続した形で演奏されます。ですからやはりセットで成立する世界なんでしょうね。「Exiting Purgatory」で苦しい狭い世界から脱出した後、広い大地で爽やかな風に吹かれながら広がる世界を眩しい気持ちで眺めているような、晴れ晴れとした感じがする曲です。

「Eva」これはお嬢さんの名前じゃないでしょうか?なんか可愛らしい曲だし、可愛い愛娘の様子を優しい目で眺めているドミニクの穏やかな表情が見えるような曲です。ラストの方でまた「Scirocco」のイントロがフェード・インしてきます。

「Shavasana」はまたエダ・ザリの声や重なるトランペットやヴァイオリンの音でやはり凄く宗教的な神々しい世界を感じます。タイトルの意味がわからなかったので調べたら、これはヨガのポーズの名前のようですね。ドミニクはスティングからの影響でずっと集中力を高めるためにヨガをやっている、と言っていましたからそうなのかもしれません。完全なリラックス状態になって、心や体を解放して静かに瞑想状態に入るポーズのようです。確かに、この曲を聴きながらこの「Shavasana」というポーズを取れば、めちゃくちゃ心の安静が得られるような気がします。

続く「Hotel Pink」。いきなり世界が活気ある現実世界に戻った感じがします。この曲好きですね。ラーニ・クリジャのパーカッションとセバスチャン・スタッドニツキーのトランペットが効いてます。

「World Party」これはドミニクが1986-87年に参加していた、カール・ワリンジャーの「World Party」に関する曲でしょうか?今までのドミニクの曲にはあまりなかった、アメリカ的なブルージーでフォークの要素を感じる曲です。そしてこの曲はこのリズムのグルーヴからも、なんかアメリカの広大な景色を、ツアーバスに揺られながら眺めているような感覚になります。このワールドパーティのツアー中にドミニクは「King Swamp」の中心メンバーと出会います。

「Tisane」。これは後に、ECM移籍後の第一作、『Silent Light』に収録されます。これも聴き比べてみると全然印象が違いますね。「Tisane」とは、フランス語でハーブティーの事のようです。確かにどこかのカフェで、ハーブティーを飲みながら楽しく誰かと会話をしているような印象の曲です。

「St Victoire」これはもうすぐに分かりますね。あのセザンヌが良く絵を描いた、南フランスのエクサン・プロヴァンス(Aix-en-Provence)近郊にあるサン・ヴィクトワール山のことだと思います。私も昔、南フランスには初夏の一番いいシーズンに10日間ほど滞在した事があり、エクサン・プロヴァンスにあるセザンヌのアトリエにも行った事があります。本当にこのあたりは綺麗です。これは推測ですが、2017年の『Silent Light』からの「Water」のPVでドミニクが最後景色を見ている高い所はサン・ヴィクトワール山かもしれないですね。

「Moroccan Roll」はカッコイイ曲ですよね!最近のライブでも演奏してますね。とにかくビートがカッコイイ。だけど、ここまでドミニクが「ビート」を全面に打ち出してリズムギターとして感じで演奏している曲はあまりないような気がします。「Rush Hour」「Truco」のようにリズムが強力な曲も勿論ありますが、この曲はドミニクのギターはもう殆どリフですからね。他にビートをこのくらい打ち出している曲として思いつくのは『Third World』の4曲目Parido Altoくらいでしょうか。ドミニクは南米出身ですから、シンコペーション中心に基本的にリズム感もすごいですが、曲の発想はあくまでも歌としてのメロディーが最初で、ビートやリズムから発想をスタートしていることはあまりない。だからこのアルバムにはこれはスティングやドミニクのバンドでお馴染みの、パーカッションのラーニ・クリジャが参加していて、彼はモロッコ出身なので、彼のアイデアとかあったりしたのかもしれないですね。後半にはイスラムのコーランを読んでいるような男性の声も入っています。

「Doolin」この曲もゆったりとしたグルーヴの中に、ドミニクのギターのハーモニクスが本当に綺麗に響いているなんとも心地のいい印象の曲です。重なるトランペットの音が郷愁も感じさせる曲です。アルバムのラストにもってこいのすごく余韻を残す曲です。
これもちょっと推測になりますが、「Doolin」はアイルランドのクレア県にある地名じゃないでしょうか?このクレア県という所は、昔ドミニクが「休みの時に良く行く好きな場所」と言っていた記憶があるんですよね。で、そのクレア県ってどんな所だろう?って検索してみたら、すぐ近くに「Doolin」という街を発見しました。海沿いの小さな街で、断崖絶壁の海岸線がすごく綺麗な所です。そして、この村は「伝統的アイルランド音楽の中心地」という説明があるので、その辺りと関係しているのかもしれません。それにアイルランドはドミニクのお母さんの出身地ですから、すごく思い出があるんじゃないかと思っています。

そしてアナログ盤のボーナス・トラックになっている2曲です。これは一応両方共YouTubeで聴く事が出来ます。「Evelyn」は女性の名前でしょうか?かなり大人しい静かな印象の曲です。(Evelyn
「Second Thought」は遊園地で遊んでいるような人の声が小さく入っていますね。人混みの喧騒の中で何かドミニクが一人考え事をしているような印象の曲です。(Second Thought

最後に、大変重要な内容なので、是非下の「Dominic’s words at the time of the album’s release」を読んでほしいと思います。このアルバム発売当時のドミニク自身の言葉です。ドミニク・ミラーという音楽家の考え方がよく理解できると思います。

Dominic’s Comments

「Exiting Purgatoryについて」:アルバムで最初に書いた曲なんだ。アルバムに収録されている曲順は、僕が書いた曲順であり、レコーディングした曲順である、というのが正しいかもしれない。アルバムのアイデアはそうやって始まったんだ。偶然見つけたんだ。すごいリフだとは思わなかったけど、2年半も経っていたし、そろそろ何か言い始めるべきかなと思っていたときに偶然見つけたんだ。私にはそれがフィリップ・グラスのように聞こえたので、そこから始まりました。一種のミニマリスト的で、反復的で、単調な繰り返しです。 形になったので、それでうまくできました。 そこで、みんなに向かって演奏してみました。以前はもっと速かったのですが、ラーニ(パーカッショニスト)の本能で、速度を落として重くしたのです。 それで、僕らは一種のレップ・ツェッペリン・モードになった…。そして、あることが別のことにつながり、ベースがルート音をたどって太く聞こえ、ハーモニウムが不吉な雰囲気を与え、そしてエダ・ザリ(ボーカル)が演奏した。 恐ろしいラテン語のヴェルディ・レクイエム風の台本だったが、それは彼女には朝飯前のように簡単なことだった。

「いくつかの曲調について」:いくつかの曲にはカントリー風またはフォークの雰囲気があります。 それはスティングと一緒に『ザ・ラスト・シップ』に取り組んだ影響ですか?、という質問に対してこう答えている。
「いいえ、全然違います。おそらくそれが私の気まぐれな側面、私のヒッピーさです。 私にとってはフォークというよりアメリカーナです。 私はミュージシャンの中では恐らく唯一のグレイトフル・デッドのファンです。私は彼らが大好きで、ジェリー・ガルシアのギター演奏が大好きです。 つまり、それはアメリカーナ、Doolin’ や World Party のような曲はそれへのオマージュであり、フォーク・ミュージックのサンフランシスコ的な側面があります。」

「選んだミュージシャンについて」:「トランペット/キーボードのセバスチャン・スタッドニツキーは完璧なオールラウンド・ミュージシャンであり、その個性とハーモニー・センスは、彼が演奏していない曲でさえもこのアルバムに溢れている。
アルバニアのティラナ出身で現在ドイツ在住のエダ・ザリは、このアルバムの特別ゲスト・アーティストである。この熟達したオペラ歌手の色彩豊かでリリカルなソプラノは信じられないほどのカリスマ性を持っており、彼女は大きな情熱とエネルギーと深みで聴衆に催眠術をかける。ウェールズ出身のディラン・ファウラーはラップ・スティール・ギターが専門。その腕前はダニー・トンプソンやリチャード・トンプソンなどに引っ張りだこだ。」
フィドル奏者のピーター・ティッケルはニューカッスルで育ち、スティング(「If On A Winter ‘s Night」)、ヴィンセント・シーガル、そしてマートル・ティトルとのコラボレーションでその名を知られるようになった。このスタイリッシュなヴァイオリン奏者は、その伝染するような音楽的献身からドミニクに引き抜かれた:「ここ数年、ピーターとツアーを共にしてきたが、彼はもう家族だ。彼は、まるで自分の命がかかっているかのように一音一音を演奏する。彼のサウンドは真実だ。」
パーカッションのモロッコ生まれのラーニ・クリジャは、世界中の楽器を使い、オマール・ソーサ、ドン・バイロン、キザイア・ジョーンズ、グザヴィエ・ナイドゥ、サラ・コナーらと共演している。ミラーは言う:「彼は音楽に生命、喜び、ユーモアを与えてくれる。彼は私の第3の耳であり、信頼できる親友でもある。
またミラーは、アップライトベースとチェロのラース・ダニエルソン(ケニー・ウィーラー、トリロク・グルトゥ、ジョン・スコフィールド、セシリー・ノービー)を高く評価している:「ラースのやることすべてにセンスの良さがにじみ出ている。毎日、一日中彼の演奏を聴いていたいくらいだ。」

Dominic’s words at the album launch

『Ad Hoc』リリース当時のドミニクのコメント:
こんにちは、友達、フォロワー、そしてただ少し興味がある人。 ここ数年は一つも書いていませんでした。 その理由の一部は twitter と Facebook にあると思います。 わずか数語の制限なしに自分の考えを投稿できる場所が 1 つしかなかったウェブサイトの時代が懐かしい1です。

なぜ私が書いているのか? なぜなら私はミュージシャンで、仕事をするのが好きだからです。 私が何も言わなければ、あなたは私のやっていることに興味がないかもしれません。 他のみんなと同じように、私もビジネスを続けようとしているだけなので、ライブに来て私の音楽を聴いてほしいと思っています。 私がインタビューを行うことはめったにないので、光沢のある日曜日の雑誌の付録に私を見つけることはできません。 話を聞かれないこともあるし、私はソングライターではないので、メディアに対して言うことはあまりないんです。
しかし、私は歌詞を書きませんが、インストゥルメンタルの音楽にはある種の物語があると絶対に信じています。 もうすぐ新しいアルバムが出るので、聴いてもらいたいです。 これは私の物語、またはアルバムの楽譜の拡張版であると考えてください。 必要に応じて、自己宣伝として考えることもできます。 あるいは、まったく考える必要がありません。 私の音楽と同じように、独自のストーリーを作ることも、まったくストーリーを作らないこともできます。 どちらでも構いません、それはあなた次第です。

ここ数年は何と信じられないほど素晴らしいものでした。 ご存知の方も多いと思いますが、皆さんの多くは私がスティングと一緒にほとんどの時間を過ごしていることを知っているかと思います。彼と一緒に働く特典の一つは、彼が雇う人々と一緒に働く機会です。彼の雇う人々の多くは私にとって最も親しい友人の一部になりました。私たちは家族です。彼は最高のミュージシャンや技術者を選びます。私にとって本当に祝福された人生です。私たちは世界中を旅し、素晴らしいコンサートを行い、素晴らしい人々に出会いました。
スティングが今後何をするかについての意見を多くの方々から聞くことがあります。私もあなたたちの中からいくつかのコメントを受け取っていますが、最も多いのは「いつになったら昔みたいな次のアルバムを作るの?」というものです。 これは彼以外には誰にも関係ないことなので、私は微笑まなければなりません。 知っておいていただきたいのは、彼は信じられないほど健康的で生産的な労働倫理を持っており、それが私にとって良いことなので、何をするにしても私は彼と一緒に仕事をするのが大好きだということです。 私はそれをあらゆるプロジェクトに取り入れようとしています。

私は1年に約2~3ヶ月、自分のプロジェクトに取り組んでいます。音楽を作曲し録音し、バンドを持ち、小規模なツアーや単発のソロショーを行っています。言うまでもなくそれが大好きで、最も重要なのは、私も信じられないほどの素晴らしいバンドを持っており、彼らも私の最も親しい友人の一部です。条件はスティングとの仕事とはまったく異なりますが、同じ理由でそれを行っているバンドがあります。それは単に音楽の愛のためです。早朝の起床コール、機材の持ち運びやセッティングなど、すべてにユーモアのセンスが必要です。私たちはみんな、それを愛しているからやっています。嬉しいことに、2014年5月と6月にヨーロッパでツアーを行う予定です。日程はまもなく発表されます。

私も、「いつ『First Touch』のようなアルバムを作るつもりですか?」といったコメントを受けます。スティングの時と同じ反応が適用されます。ミュージシャンとして私たちは進化しています。進歩するために私たちはやらなければならないことをやらなければなりません。
時には、リスナーに合わない方向に行くこともあります。
常にリスナーに合った音楽を作ること、または彼らが望むアルバムを作ることが正しいことでしょうか?それは私たちをある程度予測可能なものにし、安全な選択をしていることにはなりませんか?確かに考える材料にはなるかもしれませんね。私の娘のミスティは、ウクレレ・シンガーソングライターとしての最初のアルバムについて、いつもコメントをもらっています。それはみんなが愛したものでした。彼女は今は違うことをしており、ウクレレ時代のリスナーには合わないかもしれないけれど、彼女には絶対に似合う、違うことをやっている。私は彼女を全面的に支持します。

私は、潜在的なコストやリスクを承知でチャンスを掴む人が好きだし、尊敬している。実際、私はそれを好む。
どんなアーティストのやることでも、私がとやかく言う筋合いはないし疑問はありません。もし、あなたが作品をひとつでも気に入ったなら、私は今後あなたが何をやっても絶対に受け入れるだろう。気に入らなければならないという意味ではありませんが、捨てたりはしないでしょう。
Soundcloudに投稿した最初の曲「Tisane」からの反応には本当に勇気づけられました。私の現在の創作の軌跡を “承認 “してくれているということなのでしょう。そうだね、全編アコースティックという点で、ちょっと “First Touchey “かもしれないね。そういう意図はなかった。ただ、またアコースティック・ギターを弾くのが落ち着くんだ。

新しいアルバム『Ad Hoc』のリリースをとても楽しみにしています。最初の曲 ‘Exiting Purgatory’ に合わせて、NYでおしゃれなビデオを作ったんだ。怖いタイトルだと思うけど、タイトルの最初の単語「出口」はハッピーエンドや勇気づけられる結末を暗示してるんだ。インスピレーションは絶望から生まれると聞いたことがある。これは私の経験でもある。真実を見つけるためには、時には深く掘り下げなければならないと思う。このアルバムでは、それを見つけるためにベストを尽くした。もし聴いてもらえたら、それがあなた自身の真実を見つける助けになればと思う。
新曲は近日中にビデオ付きで発表し、2月にはアルバムを発表する予定です。ご意見、ご批判、疑問、励まし、称賛など、お待ちしています。あなたがどのように思うか自由だが、何があろうと、決して私は音楽を作ることをやめめませんから。愛を込めて、ドミニク。

■ Video ■

The making of 'ad hoc' the new album by Dominic Miller - official HD version

「Ad Hoc」のメイキング映像です。ドミニクが言ってることからも、臨機応変に最高の瞬間を捉えようとするような感じで制作が進んでる様子が伺えます。ドミニクは「ラーニがオーバーダブの修正をするのでコントロールルームから追い出された」、と言ってます。しかしそれは自分がラーニに「私のアドバイスを一切受け入れるな」と言ったからだと語ってます。
また「エダはこのレコードで起きた小さな奇跡のひとつで、ロニーが彼女をお茶に誘ってくれたんだ。そして挨拶をして、音楽を聴き返していると何か鼻歌を歌い始めた、そして私はただ『あれは何だろう?』と思った。 それで私はすぐに言いました、『ああ、あなたは今マイクの後ろに行かなければなりません。』
ですから本当にその時思いついたアイデアのまま、流動的に創り上げられたようです。
あと、ここには出てきませんが、ラップ・スチールギターでディラン・ファウラーが参加しています。彼はドミニクが一番最初にこの世に出したアルバムを一緒に作り、色んな場所で一緒に演奏した人です。非常に素晴らしいミュージシャンです。

■ Review-1 ■

レビュー:ドミニク・ミラーは、音楽を作る創造的なプロセスの自発性をとらえたかったので、新作のタイトルに「Ad Hoc」ほどふさわしいものはないだろう。このアルバムのレコーディングのために、彼はパーカッショニストのラーニ・クリジャをはじめとするトップクラスの仲間に囲まれた。彼はその「直感」とユーモア、そして「第3の耳」を称賛している。ラース・ダニエルソンはベースとチェロを弾き、鍵盤とトランペットには万能ミュージシャンのセバスチャン・ステュドニツキーを起用した。アルバニア人歌手のエダ・ザリは、どちらかというと自然な形で参加した。リリカルなコロラトゥーラ・ソプラノで、情熱、エネルギー、深みで聴く者を魅了する。ラップ・スティール・ギターのディラン・ファウラーとスティングのフィドル奏者ピーター・ティッケルも参加している。トリッキーな7/8拍子の “Exiting Purgatory”、優しくメロディアスな “Eva”、音の瞑想 “Shavasana”、ウェザー・リポートを彷彿とさせるワールド・ジャズ “Moroccan Roll “など、ジャンルの垣根は一切ない。今特別なのは、時に近く、時に遠いものの単なるクロスオーバーに留まらないことだ。モダンジャズ、エレクトロニカ、アコースティック・フォーク、コンテンポラリー・クラシック・ミュージック、ワールド・ミュージックの組み合わせは、「アドホック」にまったく新しいものを生み出す。これまでに聴いたことのないこの共生にふさわしい言葉は、まだ生まれていない。ドミニク・ミラーは、主に1991年に始まったスティングとのコラボレーションを通じて知られるようになった。スティングはドミニク・ミラーを「彼の右手と左手」と呼ぶのが好きだ。「Ad Hoc』はドイツで録音された、ドミニク・ミラーの現在までのベスト・アルバムである。

■ Review-2 ■

レビュー:…アルペジオのようなメロディー、リズムの繊細さ、ハーモニーの浮遊感が全体的に透明に混ざり合っている。まるでその瞬間から生まれたかのような音楽であり、連想的でバランスが取れており、ダイナミックさは控えめで、ドラマチックさは控えめである。同時に、抑制の美を育むことに成功し、何度でも聴くことのできる音楽を発展させた、華麗さへの広い懐疑心を記録している」。【Stereoplay/2014年3月】 これは非常に成熟したアルバムだ。【Goodtimes/2014年4月号・5月号】

  1. ドミニクは2015年ごろまでの自分のサイトで自分でリスナーからの様々な質問に答えたり、日々の音楽活動の情報を発信していました。 ↩︎
  2. Until around 2015, Dominic used his website to answer various questions from listeners and provide updates on his daily activities. ↩︎